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GK谷、金メダル級の殊勲 PK戦の主役!二本止めて日本救った

[ 2021年8月1日 05:30 ]

東京五輪第9日 サッカー男子準々決勝   日本0―0(PK4―2)ニュージーランド ( 2021年7月31日    カシマ )

<日本・ニュージーランド>PK戦でニュージーランドの2人目、カカーチェのキックを止めるGK谷(共同)
Photo By 共同

 背番号12は仲間の手荒い祝福でもみくちゃにされた。苦しかった120分の熱戦。2大会ぶりの4強進出の立役者になったのは、GK谷だった。

 「ホッとしてます」

 負ければ終わりの決勝トーナメント。勝敗はPK戦に委ねられた。96年アトランタ五輪でマイアミの奇跡を演出した川口能活コーチから「ヒーローになってこい!」と送り出され、2人目キッカーのカカーチェのシュートを右に跳んでセーブ。さらに3人目のルイスには“重圧”をかけてミスを誘発した。川口コーチから相手キッカーの情報を伝えられたが、あまりの短時間で覚え切れず。最後は自身の直感を信じ「(2本目は)読みが当たった。タイミングもバッチリ」といたずらっぽく笑った。

 大阪府出身。幼稚園年長からサッカーを始め、当初はフィールド選手だった。だが3つ上の兄のチームに交ぜてもらった際にGKをしたことが転機となった。バレーボールの実業団でプレーした母・真由美さん(1メートル70)の遺伝子を受け継いだ少年は、運動神経とともに身長(1メートル90)にも恵まれた。ハイボールを駆使してきたニュージーランドの攻撃を抜群の飛び出しとジャンプ力で防いだ。

 アンダー世代から将来を嘱望されながら19年に2度の左肩負傷。同年U―20W杯を棒に振り、すでにJ1デビューを果たしていた大迫の背中を追う立場になった。その中で常に片隅にあったのが17年U―17W杯で共闘した久保の存在。「友達、ライバル、時にはチームメート。負けていられないなと思う」。そしてドイツ代表GKノイアーを目指し、出場機会を求めて20年にG大阪から湘南へ期限付き移籍。東京五輪直前合宿で正守護神の座を射止めた。

 U―17W杯では決勝トーナメント1回戦でPK負け。そのトラウマを払しょくし、ここからは未知の戦いが待ち受ける。「楽しみですね」。再びヒーローになるイメージを膨らませ、不敵に笑った。

 ◇谷 晃生(たに・こうせい)2000年(平12)11月22日生まれ、大阪府出身の20歳。G大阪の下部組織から18年にトップチームへ昇格。湘南へ移籍した20年にリーグ戦25試合に出場し守護神に定着。今季はここまでリーグ戦19試合にフル出場。1メートル90、84キロ。利き足は右。

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