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鹿島 コロナ禍も“メルカリ流”で乗り切る!小泉社長 20億減収の可能性に言及も独自デジタル施策展開へ

[ 2020年4月25日 05:30 ]

鹿島の小泉社長
Photo By スポニチ

 J1の複数クラブが24日、2019年度の決算を発表し、20年度の経営について厳しい予測が相次いだ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でJリーグ公式戦の再開が見通せない中、フリーマーケットアプリ大手のメルカリ会長を兼ねる鹿島の小泉文明社長(39)は、約20億円もの大幅減収の可能性に言及。公式戦再開後にはクラウドファンディングや投げ銭システムなど、独自のデジタル施策を講じていく考えを示した。

 親会社メルカリのノウハウを生かしたデジタル戦略で見えない敵に対抗する。株主総会後にオンラインでの合同取材に応じた小泉社長は「このままいくと夏、秋にかけて資金繰りが厳しくなるチームが出てくると思うし、アントラーズも気を抜くと危ない状況」と説明。その上で“メルカリ流”の施策で考えを示した。

 公式戦中断により各クラブは入場料収入が見込めない状態が続いている。鹿島は19年度の決算では入場料収入が約9億9600万円だったが、今年度は入場料収入に加え、スタジアムでの物販などの損失がどこまで膨れ上がるのか見通しが立たない。リーグは再開後の無観客開催も検討しており、小泉社長によれば「おそらく10億、20億の単位で(収入が)落ち込む可能性もあると思っている」と危機感を口にする。

 それでも「減っていくのをただ見ているわけにはいかない」と、これまで以上にデジタル施策を推進する構え。「物販であればeコマース(電子商取引)、無観客であってもクラウドファンディング、投げ銭で収益化を図る」と青写真を描いた。

 鍵となりそうなのがクラウドファンディングと投げ銭だ。いずれも公式戦再開後の運用が見込まれるが、試合中の選手の好プレーに投げ銭ができるシステムの運用や、試合で顕著な活躍をした選手のユニホーム、スパイクなどにプレミアをつけた形でクラウドファンディングを募集するといった新たな試みも検討している。

 「お客さまの感動値をいかにスタジアムと同じようにキープできるかなど、無観客試合 でも入場料収入がゼロにならないような仕組みを準備したい」と小泉社長。さまざまなアイデアを駆使し、未曽有の危機に立ち向かっていく。

≪「投げ銭」=動画評価→ネット上で金銭的支援≫
 Q 「クラウドファンディング」って?
 A 群衆(クラウド)と資金調達(ファンディング)を組み合わせた造語。主にネット上で今後の活動や目標を発信し、応援したいと思った人から資金を募る手法です。見返りのない「寄付型」、金銭的な見返りのある「投資型」、物品を買い支援する「購入型」があります。通念上、募集者は目標額と達成額、使い道、活動の進行状況などを報告する必要があります。

 Q 「投げ銭」とは?
 A 元々はストリートパフォーマーなどに対し、評価した人が投げ入れる小銭のこと。動画を見た人などがネットを通じ、金銭的に支援をする仕組みです。「YouTube」や「ニコニコ生放送」などのサービスでも導入されています。広い意味ではクラウドファンディングも含みますが、必ずしも金額や使途の報告は必要ありません。

 ◆小泉 文明(こいずみ・ふみあき)1980年(昭55)9月26日生まれ、山梨県出身の39歳。早大商学部卒業後、大和証券SMBCやミクシィを経て、13年12月にメルカリ入社。14年3月に取締役となり、17年4月に取締役社長兼COOに。現在は会長。昨年7月に鹿島の経営権を取得、同8月に 代表取締役社長に就任した。

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2020年4月25日のニュース