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マンCに本物の“救世主” デビュー4戦3発ジェズスに指揮官も驚き

[ 2017年2月7日 09:05 ]

スウォンジー戦でゴールを決め、チームメートと喜び合うマンチェスターCのFWジェズズ(手前)(AP)
Photo By AP

 プレミアリーグに超新星が出現した。マンチェスター・シティーのブラジル代表FWガブリエウ・ジェズス(19)が5日、ホームのスウォンジー戦で2ゴールを挙げて2―1の勝利の立役者となった。昨夏のリオ五輪でブラジルの初優勝に貢献した若きストライカーは、1月にパルメイラス(ブラジル)から加入し、デビューから公式戦4試合で3得点2アシストを記録。世界最高峰の舞台に素早く適応し、名将ペップ・グアルディオラ監督(46)をも驚かす才能を発揮している。

 19歳の救世主の出現に、5万人のシティーサポーターが熱狂した。後半36分に追いつかれて1―1で迎えた47分、FWガブリエウ・ジェズスが決勝ゴール。右クロスを頭で合わせ、相手GKがはじいたところを冷静に右足で押し込んだ。劇的な白星でチームはアーセナル、リバプールを抜いて3位浮上。前日に勝利した首位チェルシーとの勝ち点差10をキープし、逆転優勝に望みをつなぐ値千金の一発だった。

 「2得点できて本当にうれしい。チームに凄く早く慣れることができた。クラブのみんなが日々助けてくれるおかげです」。試合後ヒーローインタビュー。まだ英語が話せない新人は、同郷の先輩MFフェルナンジーニョの通訳で控えめに喜びを語った。あどけない童顔とは裏腹に、ピッチではデビュー4戦目とは思えない堂々たるプレーを披露。前半11分には浮いたこぼれ球に反応し、豪快なジャンピングボレーで先制点を突き刺した。

 名将の予想をも上回る活躍だ。試合後、グアルディオラ監督は「誰もがレベル(の高さ)に驚いている。ペナルティーエリアで特別な才能、ゴールへの嗅覚を持っている」と絶賛した。ブラジルの名門パルメイラスから移籍金2700万ポンド(約38億円)で加入。リオ五輪優勝メンバーで、元ブラジル代表FWのロナウド氏が「昔の自分のよう」と“後継者”に指名するほどの逸材だが、指揮官は過剰な期待はしていなかった。デビュー直前の先月20日の会見では「19歳とまだ若い。彼がチームの問題(決定力不足)を解決できるとは思えない」と発言。前節ウェストハム戦でエースFWアグエロに代わって初先発させて、初得点とアシストを挙げた後も「スイカと同じで、切ってみないと味は分からない」と半信半疑だったという率直な気持ちを明かしていた。

 1月3日の英国入りから、わずか1カ月で世界最高峰リーグに適応。その理由について、グアルディオラ監督は(1)「フィジカルが強く、スピード、運動量もある。頭もいい」(2)「性格は謙虚で真面目。英語レッスンも毎日欠かさず受けている」(3)「お母さん(ベラ・ルシアさん)がしっかりした方で、一緒に英国に来てサポートしてくれている」と分析した。

 名前のジェズスはイエス・キリストのポルトガル語読みで、ブラジル時代と同じ背番号33はキリストが亡くなったとされる年齢にちなむ。“神の子”がゴールを量産すれば、勝ち点10差からの奇跡的な大逆転Vが実現するかもしれない。

 ◇ガブリエウ・ジェズス 1997年4月3日、ブラジル・サンパウロ生まれの19歳。15歳で地元の名門パルメイラスの下部組織に加入。15年に元鹿島のオリヴェイラ監督に抜てきされて17歳でトップチーム初出場。昨年のブラジル選手権でチーム最多の12ゴールを挙げて22年ぶりの優勝に貢献した。昨年8月にマンチェスターC移籍に合意。ブラジルが初優勝を果たした昨夏のリオ五輪で6試合3得点。A代表は昨年9月のW杯南米予選エクアドル戦でデビューし、通算6試合4得点。1メートル75、70キロ。利き足は右。

 ▼プレミアリーグにおけるブラジル人選手 文化、言葉が近いラテン系のスペイン、イタリアよりも適応が難しく、リーグのスタイルもフィジカルが重視されるため、技術が持ち味のブラジル人選手が活躍するのは難しいとされる。05〜08年にRマドリードで25得点を挙げたFWロビーニョは、08〜10年に所属したマンチェスターCでは14得点に終わり「(気候は)寒すぎるし、文化も全然違う」と振り返った。ブラジル人選手のリーグ最多得点者は90〜00年代にミドルズブラでFKの名手として活躍したMFジュニーニョ・パウリスタで通算29得点。2位は13年からリバプールでプレーするMFコウチーニョで26得点を挙げている。

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2017年2月7日のニュース