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サッカーにおける「自力優勝」の意味 ジレンマ解消の妙案は…

[ 2016年6月29日 09:30 ]

第1ステージ優勝を決め、喜ぶ鹿島イレブン

 J1第1ステージは鹿島の優勝で幕を閉じた。残り2節まで首位に立っていた川崎Fをかわしての逆転V。ACLの関係で消化試合が少なく、中盤まで事実上の首位だった浦和の失速もあり、上位が目まぐるしく入れ替わる見応えある展開だった。リーグ終盤には、本紙も含めた各報道で「自力優勝」の見出しが並ぶケースが目立ったが、果たして「自力優勝」はサッカーのリーグ戦で使うべき言葉なのか。

 「自力優勝」とはあるチームが残り試合に全勝した場合に、他チームの結果を問わずに優勝できることを意味する。1球団が年間143試合を行うプロ野球では各球団と25回戦総当たり+交流戦が行われるため、よほどひどい成績でない限り自力優勝の可能性は終盤まで残る。そのため「自力優勝の可能性が消滅」することは重みがあり、特筆すべきポイントとなる。

 一方のJリーグは1ステージで各チームとの対戦は1試合だけ。対戦を終えたチームより下の順位にいれば「自力優勝」は不可能な状態に陥る。つまり、各ステージにおいて開幕戦に敗れたチームは、その時点で自力優勝の可能性が消える。さらに言えば、7月2日に開幕する第2ステージを前に、自力で年間1位になる可能性を残すのは首位の鹿島と、勝ち点1差で2位につける川崎Fの2クラブしかない。とはいえ、現時点で他の16クラブの枕詞に「既に自力での年間1位の可能性が消滅している」とつけるのはナンセンスだ。

 一方で終盤の優勝争いにおいて「自力優勝」の「消滅」や「復活」がリーグ戦の展開を分かりやすく伝える言葉であることは否定できない。それでも、序盤に全く登場しないフレーズが終盤になって、突如、出現することには違和感を覚える。このジレンマを解消する妙案はないものだろうか。くしくも、このコラムはWEB掲載用。読者の皆さまに良いアイデアがあれば、コメント欄に書き込んでいただきたい。完全に「他力」での解決になってしまうが…。(木本 新也)

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2016年6月29日のニュース