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なでしこ 首をかしげた部屋割り 調整失敗 試合勘の乏しさも明白

[ 2016年3月14日 10:18 ]

<日本・オーストラリア>前半、2点目を失い、肩を落とす山根

 【なでしこの落日(4)】五輪出場へ万全を期したはずだった。だが、調整段階での甘さやミスは確かにあった。1月18日に始まった石垣島での1次合宿。海外組と国内組の意識を統一させることを一つのテーマに選手たちは集まった。いざ宿舎に到着して2人部屋の割り振りを聞くと、首をかしげる選手がいた。

 気心が知れたペアが組むリラックス型と、若手とベテランが交じる融合型。前者は緊張感のある大会直前、後者は練習が中心の合宿などで主に用いられてきた。練習のみの石垣島合宿では交流を深めるために若手とベテランの組み合わせになると思われていたが、実際には安藤と熊谷の海外組同士、川澄と上尾野辺の親友同士などが同部屋になった。ピッチ外での距離を縮める機会は減り、チームとして若手を組み込む意識も希薄だった。

 誤算もあった。9日間の石垣島合宿を終え、17日間の合間を挟み、2月13日から沖縄で2次合宿がスタート。その初日に指揮官はがく然とする。「石垣でやっていたことを忘れている」。一度解散したことで1次合宿の積み重ねは無に等しくなった。同じ時期、1カ月間に及ぶ長期合宿をしていたオーストラリアなどに対し「やればいいってもんじゃない」と強がっていたが、調整は明らかに他国より遅れていた。

 試合勘の乏しさも明白だった。ケガ人が出ることを避けるため、予選前に親善試合を組まなかった日本。1月の「4カ国親善大会」で実戦感覚を培っていた中国や、国内で連戦を経て乗り込んできたオーストラリアと対戦すると、球際の激しさなど攻守で圧倒された。

 その初戦オーストラリア戦に先発起用されたのがGK山根だった。石垣島での持久走で周回遅れとなり、かつ相次ぐ負傷で最も調整が遅れていた守護神を、高さ対策として送り込んだ。だが、想定外の事態が起こる。ロングボールを使って攻めてくると思った相手は日本のお株を奪うつなぎのサッカーで攻めてきた。なでしこの選手たちはピッチで慌て、山根は足元のミスを連発。スカウティングも不足し、予選敗退の流れが決まった。(特別取材班)

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2016年3月14日のニュース