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予算15倍のレアルに惨敗も…乾“貧乏”エイバルと成り上がる!

[ 2015年12月1日 12:15 ]

C・ロナウド(中央)のシュートを止めるエイバルGKリエスゴ(右)(AP)

 リーガ・エスパニョーラで最も貧乏と言われるクラブが、世界一リッチなクラブに挑んだ。MF乾貴士(27)が今季加入したエイバルは29日、ホームでレアル・マドリードと対戦。4試合ぶりに先発した乾はフル出場してチーム最多の3本のシュートを放つなど奮闘したが、試合は0―2で敗れた。順位は前節6位から8位に転落。それでも、昨季のクラブ予算がわずか1800万ユーロ(約23億4000万円)で18位に終わった弱小クラブが、世界最高峰リーグで大健闘している。

【リーガ・エスパニョーラ順位表 得点ランク】

 C・ロナウドをはじめ世界的スターをそろえた“白い巨人”に乾が初めて挑んだ。前半19分に左サイドからシュート。後半17分にはFKのこぼれ球からミドルシュートを放った。「(相手は)もちろん強かったし、レベルの差はあった。ただ自分たちがやるべきことは、ある程度できたと思う」と振り返ったように、13~14年欧州CL王者を苦しめた。失点は前半終了間際のCKと終盤のPK。クラブ格差を考えれば大健闘と言っていい。

 エイバルは昨季1部に初昇格した。本拠地は北部バスク地方にある人口2万7000人の田舎町で、ホームのイプルアは収容人数6000人強と日本のJ2基準にも満たないほどだが、リーグが特例で許可。昨季は降格圏の18位に終わったが、経営難の13位エルチェの降格処分により、繰り上がりで残留した。

 1部最少といわれるクラブ予算は昨季1800万ユーロで、J1でも下位レベル。今季はテレビ放映権による収入増で3250万ユーロ(約42億円)まで増えたが、それでもRマドリード(昨季5億4000万ユーロ=702億円)の15分の1以下だ。

 そんな“貧乏チーム”が今季中位につける理由は、やりくり上手の戦力補強だ。オフに約20人が入れ替わった今季メンバーで移籍金を払って獲得したのは乾のみ。その額はクラブ史上最高といっても、わずか30万ユーロ(約3900万円)だ。その他は契約満了後に移籍金0で獲得した選手と期限付き移籍選手。中でもAマドリードからレンタルのFWボルハはチーム最多の6得点と活躍する。

 ガラガルサGMは選手の能力に加え、性格や生活態度なども重視。家族のように結束したチームづくりを目指し、乾も「最初から歓迎された。チームメートに恵まれた」とすぐに溶け込んだ。バスク伝統の食事会「チョコ」で定期的に全員で食事をすることも団結力向上につながっている。

 ホームのピッチはリーグ2番目に小さい長さ103メートル、幅65メートル。狭いフィールドで相手にスペースを与えず、組織力を生かしたプレスから速攻を狙う。「もっと上を目指してやりたい。結果を出さないと」と初ゴールを狙う乾が本領を発揮すれば、弱小クラブのさらなる進撃も夢ではない。

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2015年12月1日のニュース