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C大阪、J2降格を斬る(3)狂いっぱなしの歯車修正は育成から

[ 2014年12月3日 10:30 ]

11月29日の鹿島戦に敗れ3度目のJ2降格。サポーターに頭を下げるC大阪イレブン

 「史上最攻」をスローガンに掲げたC大阪の20周年イヤーは、最悪の形で幕を下ろした。誰も予想できなかったクラブ史上3度目のJ2降格。低迷の原因は何だったのか。連載最終回(全3回)は崩壊したチームの立て直しの難しさと、再建に向けた進むべき道を探る。

 強化体制が崩壊すればクラブとしての魅力は失われる。不振を打開するため今夏には緊急補強を模索した。しかし、正式オファーを提示した元日本代表MF金崎夢生、FW川又堅碁を獲得することはできなかった。「セレッソは中がぐちゃぐちゃになってるから…」。代理人筋からは、そんな声が聞こえてきた。

 岡野社長が勝負に出た1年は最悪の結末を迎えた。その痛みは、J2降格にとどまらない。代理人を通じてフォルランと交わした契約は、1年契約プラス半年の契約延長オプション付き。オプションの選択権はフォルラン側にあるため残留は基本線となっており、このまま不振が続いても、今季年俸の半額に当たる約3億円の給料を来夏まで払わなければならない。

 「だから素人がやったら大変なことになる」。クラブ幹部は悲鳴を上げる。スポンサー急増などで多くの収入を増やした一方、約1・5億円の年俸での元ドイツ代表FWカカウ獲得などもあり、例年以上に支出が増えたことも確かだ。

 さらに、来季に向けた監督人事でも想定外の事態が起きた。11月上旬には最有力候補としてクラブOBでKリーグ浦項監督の黄善洪(ファン・ソンホン)氏(46)に一本化。年俸など条件面も提示し、交渉がまとまりかけていた中で破談となった。浦項側と来季以降の契約が残っていることも難航した理由だったが、それ以上に大きな問題が土壇場で生じた。

 実は黄善洪氏がJリーグの監督を務めるために必要なS級ライセンスおよび、それに相応する資格を保有していなかったことが判明したのだ。Kリーグ制覇という確かな実績がありながらも、かつてG大阪で指揮を執れなかった呂比須ワグナー氏と同じ状況に陥り、後任人事は白紙に戻った。

 ジェットコースターのように急降下したクラブを再建するのは容易ではないが、クラブは従来の「育成型」を強化する方針を固めている。今季は大型補強が目立ったとはいえC大阪の育成組織には日本全国から将来有望な少年がU―15、U―18に集まっており、来季からはセカンドチームも立ち上げる。自前の選手を今まで以上に鍛え戦力を充実させていく。

 ただ、J1復帰のためには補強も必要不可欠な要素だ。「育成」と「補強」のバランスが重要となり、来季強化部長には大熊清氏の就任が内定。今季、崩壊した強化部門の立て直しに期待がかかる。クラブ史上3度目のJ2降格。屈辱を糧に、魅力あるC大阪がよみがえることを願う。

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2014年12月3日のニュース