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浦和に“山岸魂”逆転Vへ元同僚のスーパープレーから勇気

[ 2014年12月3日 05:30 ]

山岸弾の再現狙うかのように真剣な表情でヘディングする浦和GK西川

 J1優勝争いで2位に後退した浦和が2日、最終節・名古屋戦(6日、埼玉)に向けて、さいたま市内で練習を再開した。前節11月29日の鳥栖戦では終了間際の失点で勝利を逃し、大きなショックを受けたが、この日は明るい表情。今季途中まで浦和に在籍したJ2山形の守護神・山岸範宏(36)の活躍が、選手に再び立ち上がる力を与えていた。首位のG大阪は6日の徳島戦(鳴門大塚)に向け、FW宇佐美貴史(22)がゴールと9年ぶりの優勝を誓った。

【J1順位表】

 首位陥落のショックは拭い去った。この日の練習はランニング、サーキットトレーニングなど軽めのメニューで約1時間で終了したが、選手は一様に明るい表情だった。

 前節の鳥栖戦は勝利目前の後半ロスタイムに失点し、1―1の引き分け。G大阪に首位を明け渡した。終了と同時に多くの選手が芝の上に倒れ込んだ。まるで優勝を逃したような落胆ぶりだった。どん底の状態から立ち直ったのには訳がある。「正直気持ちを切り替えられるかどうか分からなかった。でもJ1昇格プレーオフのギシさん(山岸)のゴールを見て吹っ切れた」と宇賀神が明かした。

 11月30日のJ1昇格プレーオフ準決勝。1―1なら敗退となる山形は後半ロスタイムに1点を奪い、2―1で磐田を破った。決勝点を決めたのが6月に浦和から移籍したGK山岸だった。右CKのチャンスでゴール前に上がり、執念のヘディング弾。元同僚の快挙が憔悴(しょうすい)していたイレブンに勇気を与えないはずがない。

 森脇は「サッカーは何が起こるか分からない。最後まで諦めてはいけないし、油断してもいけない。ギシさんが教えてくれた。だから最後まで諦めない」と力を込め、平川は「ギシさんが諦めない気持ちがあれば奇跡は起こると見せてくれた。僕らも奇跡を信じて名古屋に勝つ」と6日の最終戦に臨む決意を示した。

 「器用じゃないけど、サッカーに対する姿勢は素晴らしいし、試合に出られなくても腐らずやる」と宇賀神が人柄を称える山岸のゴールだからこそ、選手たちの心により強く響いた。

 首位G大阪とは勝ち点62で並んでいるものの、得失点差で7劣る。右腓骨(ひこつ)骨折の興梠は依然別メニュー。不整脈が判明した鈴木の復帰も不透明。プラス材料があるわけではない。それでも消えかけた闘志に、再び火が付いたことは確かだ。

 ▽山岸 範宏(やまぎし・のりひろ)1978年(昭53)5月17日生まれ、埼玉県出身の36歳。熊谷高―中京大を経て01年に浦和入り。14年6月にJ2山形に期限付き移籍した。06年には日本代表にも選出されたが、国際Aマッチ出場はない。利き足は右。J1通算137試合出場。J2通算24試合出場。既婚。1メートル85、88キロ。

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