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なでしこ女王撃破で4強!悲涙の丸山が決勝弾

[ 2011年7月11日 06:00 ]

<日本・ドイツ>延長後半、決勝ゴールを決めガッツポーズで駆けだす丸山

女子W杯準々決勝 日本1―0ドイツ

(7月9日)
 なでしこジャパンが新たな歴史を刻んだ。4大会ぶり2回目の1次リーグ突破を果たした日本は9日、準々決勝でW杯2連覇中の地元ドイツを延長戦の末に1―0で撃破した。途中出場のFW丸山桂里奈(28=千葉)が延長後半3分にW杯初得点となる決勝ゴール。過去国際Aマッチで1分け7敗だった強豪を初めて破る大金星を挙げて、初のW杯4強入りを果たした。五輪を含めて初めての決勝進出を懸け、13日(日本時間14日午前3時45分)の準決勝でスウェーデンと対戦する。
【試合結果 決勝トーナメント なでしこジャパンW杯&五輪全成績】

 なでしこがついにドイツの高い壁を乗り越えた。9度目の挑戦で初白星。W杯で欧州勢を破るのもこれが初めてだった。歴史的勝利を告げる笛が鳴ると、主将のMF沢を中心に歓喜の輪が広がり、イレブンはうれし涙を流しながら抱き合った。佐々木監督は「なでしこの選手は素晴らしいです。本当に耐えて耐えて耐えて…。小さな女の子が大きなことをやってくれた。誇りに思う」と震える声で選手を称えた。

 快挙への扉をこじ開けたのはFW丸山だった。W杯3連覇を狙う地元ドイツの猛攻を耐えしのいで0―0のまま迎えた延長後半3分だ。後半開始から投入されたスーパーサブが、沢のスルーパスに鋭く反応した。ポニーテールをなびかせて相手DF裏に抜け出すとゴール右の角度がないところから右足でシュート。「狙った」通りに対角の左サイドネットに突き刺すと、右手を突き上げて喜びを爆発させた。「決めたのは私だけど、チームで取った得点だと思う。今までで一番思い出に残る得点」。W杯、五輪という国際大会での初得点が値千金の決勝ゴール。自然と目からは熱いものがこぼれ落ちた。

 試合会場に出発する前にホテルで行った全体ミーティング。イレブンは東日本大震災の被災地の映像を目に焼き付けた。「みんな泣いて、私もいろいろ(な気持ちが)こみ上がってきて号泣してしまった」。東京電力でプレーしていた05~09年、福島第1原発で事務職に就いていた丸山は、特別な思いを胸に涙でゆがんだ画面に目を向け続けた。「日本が本当に苦しい中で何ができるかといったら、サッカー選手としてテレビを通じて一生懸命頑張っている姿を見せること」。震災の影響で活動を休止した古巣、そして友人、知人がいる福島などの被災地を思っての必死のプレーがゴールにつながった。

 全体ミーティングに先駆けて行った選手だけのミーティングでは、ビデオでなでしこの歴史を振り返った。「先輩方が残してくれたものを受け継いで、自分たちが歴史を塗り替えるつもりだった」と丸山。ドイツには過去1分け7敗。08年北京五輪の3位決定戦で対戦した際は、残り20分で2点を失って敗れた。史上初のメダル獲得の夢を絶たれた雪辱を果たした佐々木監督は「3年間の力を結集した結果。ドイツの思いも乗せ、本気で金メダルを狙いたい」と力強く宣言した。

 準決勝の相手は、10日の準々決勝でオーストラリアを破ったスウェーデン。国際Aマッチ最近3試合で2勝1分けと相性の良い相手を破れば、「優勝」の2文字がより鮮明に見えてくる。(ボルフスブルク・三村祐輔通信員)

 【丸山桂里奈】

 ☆生まれ 1983年(昭58)3月26日、東京都大田区生まれの28歳。

 ☆サッカー歴 小5年からサッカーを始め、入一サッカークラブ(大田区)―東京ガスサッカースクール―読売メニーナ―村田女高―日体大―東京電力―フィラデルフィア(米女子プロリーグ)―千葉。

 ☆代表歴 日体大在学中の02年に初の日本代表入り。03年W杯、04年アテネ五輪、08年北京五輪出場。北京五輪後は代表から外れ「現役引退も考えた」というが今年5月の米国遠征から復帰。通算63試合13得点。

 ☆ブロガー 07年からブログを始めてほぼ毎日更新し、アメブロで10日付のサッカー部門9位、同女子1位と人気。自身の水着姿や温泉に入っている写真もアップしてネット上で話題に。W杯前からはなでしこメンバーも紹介。メールマガジンの発行も行っているほか、ツイッターでは日本サッカー協会の原技術委員長と頻繁にやりとり。

 ☆走るの嫌い? 今年4月に所属する千葉の練習で2キロの長距離走を走らなかったことで、上村監督から全体練習前に約20キロの罰走を約1カ月間科せられた。結果的にW杯に向けて体力アップに成功。

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2011年7月11日のニュース