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名波氏が指摘!日本、4強への鍵は「修正力」

[ 2011年1月19日 06:00 ]

サウジアラビア戦でキーマンとなった岡崎(左)と柏木

アジア杯1次リーグB組 日本5-0サウジアラビア

(1月17日 カタール・ドーハ)
 【名波浩の蹴点】サウジアラビア戦の勝因は、故障者に代わり今大会初先発した岡崎慎司(24)、柏木陽介(23)のプレーにあった。テレビ朝日の解説で現地でザックジャパンを密着取材しているスポニチ本紙評論家の名波浩氏(38)が鋭い視点で分析した。また名波氏は準々決勝カタール戦のポイントを指摘した。

 既に1次リーグ敗退が決まっていたサウジアラビアの出来がひどすぎたことを差し引いても、松井(右太腿肉離れで離脱)に代わり今大会初先発した岡崎が3得点したことには価値がある。オフサイドになるかどうか、ギリギリの位置で駆け引きを繰り返すことで相手の脅威になっていた。1トップの前田が引いてできた裏のスペースに飛び出す動きは効果的だったし、岡崎の動きを警戒して相手の最終ラインが下がったことで、前田のポストプレーも生きた。

 前半13分の2点目のシーンは前田がニアでマークを引きつけて、ファーの岡崎がフリーになった。後半35分の5点目も前田の空けたスペースを岡崎が突いたもので、献身的かつ継続的なプレーで攻撃を活性化させていた。ザッケローニ監督は岡崎を、試合がこう着状態に陥った時の“切り札”と考えていたと思うが、先発でも十分にできることを証明した。

 本田圭(左足首捻挫で欠場)に代わりトップ下に入った柏木も及第点の出来だったと思う。ボールを持った時のプレーには物足りなさもあったが、オフ・ザ・ボールの動きの質は高く、特に攻撃から守備の切り替えの速さは光った。引き分け以上で自力での1次リーグ突破が決まる状況で相手が強豪と目されていたサウジアラビアだったこともあり、試合前のザッケローニ監督の頭にはある程度守備的に戦う意識があったのかもしれない。

 攻撃的にいくならトップ下に香川を置き、右に藤本、左に岡崎という選択肢もあったが、その場合の選手の特徴を考えると「攻→守」の切り替えの時に2列目の選手が置き去りにされる可能性が高い。本田圭も決して守備への切り替えが速いタイプではないが、アジアレベルでは前に残っていても相手を引っ張れるだけの存在感があるので問題はない。他の選手にそこまでの存在感はないだけに、守備面を考えて、バランス感覚があり攻守の切り替えが速い柏木を入れたザッケローニ監督の采配にも納得がいく。次戦出場停止となる内田、警告を1度受けている吉田の代わりに入った伊野波、岩政は合格点のプレーを見せた。準々決勝に向けた準備をできたことも収穫だ。

 カタールはセバスチャンをはじめ速くて強力なFWがそろっている。彼らには注意が必要だ。またスタジアムは完全アウェーになることが確実。僕もイランで10万人の観衆が入ったアウェー戦(99年アジアクラブ選手権決勝エステグラル―磐田)を経験したが、ベンチからの指示は全く聞こえないと考えていた方がいい。選手たちで考えて試合をつくり、ゲームの中で細かい修正をできるかが勝負のポイントとなる。ピッチ内で試合をコントロールする力が必要となるだけに、若いチームの真価が問われそうだ。

 ▼日本の1次リーグ最終戦サウジアラビア戦VTR 17日にアルラヤン競技場で対戦して5―0で大勝した。今大会初先発した岡崎がハットトリックを達成して勝利に貢献。前半8分に遠藤の浮き球のパスに反応して右足で先制すると、13分には頭、後半35分には左足でネットを揺らした。1トップの前田も2得点と爆発。前半13分に長友のクロスに右アウトサイドで合わせると、後半6分には伊野波のクロスを頭で押し込んだ。1次リーグ2勝1分けでB組を1位通過。2試合を終えて予選敗退が決まっていたサウジアラビアはモチベーションの低さが目立った。

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2011年1月19日のニュース