ルメールが紡ぐ日仏オークス物語

[ 2024年5月17日 05:21 ]

クリストフ・ルメール
Photo By 提供写真

 【競馬人生劇場・平松さとし】フランス競馬といえば日本では凱旋門賞(G1)が有名だ。しかし、地元では凱旋門賞以上に人気があると言われている競走がある。

 ディアヌ賞(G1)だ。

 オークスにあたるこのレース。当日はファッションショーが行われる等、華やかな開催として有名で、フランスを主戦とするジョッキーの中には「最も勝ちたいレース」としてディアヌ賞を挙げる人も数多い。

 そんな最もポピュラーなレースを、クリストフ・ルメール騎手は3度も制している。「僕が乗った中で最も強いと感じた馬の1頭」と語る2005年のディヴァインプロポーションズや、日本で繁殖牝馬となりジェニアル(18年、メシドール賞・仏G3優勝)らを生んだサラフィナ(10年)、そして09年のスタセリタだ。同馬とのディアヌ賞をルメール騎手は次のように振り返る。

 「直線で早めに先頭に立つと、後は“バイバイエブリバディ”という感じ。楽勝でした」

 スタセリタはサラフィナ同様、日本で繁殖に上がると、ソウルスターリングなどを生んだ。そしてそのソウルスターリングは、母同様ルメール騎手を主戦として今度は日本のオークスに出走(17年)した。ルメール騎手が述懐する。

 「直線で早めに先頭に立ち“バイバイエブリバディ”というレースぶり。お母さんと同じようなレース運びで、同じように楽勝しました」

 そんな勝ちっぷりもさることながら、フランスと日本のオークスを母子で勝てたことが何よりもうれしかったと語った。

 「こんなドラマチックな母子物語に携われたことに感動しました」

 ちなみにスタセリタでディアヌ賞を制した年、彼は1週間前に行われたジョケクラブ賞(G1、ダービーに相当)も勝利(ルアーヴル)した。そして、ソウルスターリングの1週間後にはレイデオロで日本ダービー(G1)を優勝した。

 そして今年は両レースでチェルヴィニアとレガレイラ(いずれも美浦・木村哲也厩舎)に騎乗する予定。どんなドラマが待っているだろう。 (フリーライター)

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