【日本ダービー】敗戦を経て武豊×キズナ進化 別路線組にも好機あり

[ 2023年5月26日 05:00 ]

13年の日本ダービーを制したキズナと武豊
Photo By スポニチ

 【競馬人生劇場・平松さとし】ちょうど10年前、13年のクラシック戦線。皐月賞(G1)前に唇をかんだのが武豊騎手だ。

 「権利を取れなかったのは痛かったです」

 タッグを組んだキズナと共に1冠目の出走権を懸けて弥生賞(G2)に挑んだが5着。皐月賞への道が断たれた事で、目標を切り替えざるをえなくなった。

 「早々にダービーを新たな目標として、逆算しました」と語ったのは同馬を管理していた佐々木晶三調教師。まずは毎日杯(G3)で賞金を加算し、京都新聞杯(G2)も叩いて本番に臨もうと青写真を描くと、見事にこれらを連勝。弥生賞の敗戦で閉ざされかけたクラシック戦線に、ダービーという大舞台で再び戻ってきた。

 「毎日杯を勝った事で(ダービーに)出られるようになったので、京都新聞杯ではためられるだけ脚をためてみました。その結果、素晴らしく切れる脚を披露してくれました」と武豊。

 キズナの持ち味を一番発揮させてあげる乗り方に、天才騎手がたどり着いた。続く日本ダービー(G1)でも同様に後方で脚をためると最後の直線で剛脚をさく裂。先に抜け出したエピファネイアをきっちりと捉え、佐々木師をダービートレーナーに昇華させるとともに、武豊騎手は5度目のダービー制覇を記録した。

 「弥生賞で皐月賞の権利を取れていたら、その後のダービー出走があったのか?あったとしてもどういう結果になったのか?分かりません」

 後に武豊騎手がしみじみとそう語ったのが印象深かった。

 さて、今年も日本ダービーが今週末に迫った。例年、皐月賞組が強い傾向にあり、今年もソールオリエンスをはじめとした有力馬が多数、その路線から出て来る。しかし、キズナがそうだったように、別路線組がノーチャンスというわけではない。キズナ同様、京都新聞杯から臨むサトノグランツや毎日杯勝ちのシーズンリッチ、また青葉賞(G2)を制したスキルヴィングの競馬ぶりも鮮烈だった。10年前のような名勝負が繰り広げられる事を期待したい。 (フリーライター)

続きを表示

「2023 天皇賞(春)」特集記事

「青葉賞」特集記事

2023年5月26日のニュース