【ラジオNIKKEI賞】ベジャール迫力満点!器用でスピードも機動力もある巨漢

[ 2022年6月30日 05:30 ]

坂路で追い切るベジャール(撮影・西川祐介)
Photo By スポニチ

 3歳馬限定のみちのく重賞「第71回ラジオNIKKEI賞」はトップハンデ56キロのベジャール(牡=田中博)が坂路で豪快な走り。関東リーディングをひた走る田中博康師(36)に初の重賞タイトルを届けるか。

 真夏日の美浦。陽光照り返す坂路の主役はベジャールだ。その巨体は遠くに居ても一目瞭然。1F目から14秒3→13秒7→12秒7と加速ラップを刻み、ラスト1Fは12秒3で駆け抜けた。全体時計は4F53秒0。うなりをあげるような走りはタイム以上のど迫力。他馬を凌駕(りょうが)する蹴り上げられたウッドチップの量がそのパワーを物語る。

 前走・毎日杯(2着)時で564キロ。未完の大器と呼ぶにふさわしい巨漢馬だ。田中博師は「以前は無駄のある走りで、一完歩ごとに連動性がスムーズではなかったが、少しずつ良くなっている。今日もリズムのいい追い切りができた。リズムが良くないと呼吸が整わないタイプだが、息の整い方も良かった」と最終追いを高評価した。師の理念は“馬に合わせて慌てない”。体質の弱い同馬は新馬戦から一走ごとに間隔を空けたことで開花。「この馬なりに成長して、体に締まりが出てきた」。重賞初制覇へ機は熟している。

 上半期の開催を終え、田中博厩舎は関東リーディングで堂々の首位(21勝)。開業5年目での快進撃。「自分が持っているビジョンと、従業員の皆の意見をくみ上げたものを柔軟にミックスして、厩舎のシステムの精度が上がってきた」。ミーティングでは忌憚(きたん)ない意見が飛び交う。一丸のチームワークの成果は、関東一の勝利数という目に見える形で表れた。「厩舎としては(タイトルが)欲しいのが正直な気持ち」。重賞初制覇へ機は熟している。

 大型馬にとって不利とされる酷暑、そしてトップハンデ56キロとそそり立つ壁は低くない。それでも指揮官は「トレセンを見渡すと暑さに負けている馬もいるけど、むしろ元気いっぱい。体が大きいので重量を気にするタイプじゃないと思っている。それに大型の割にスピードが出て、器用さ、機動力もある。あまりいないタイプで、(福島の)小回りはこなせるはず」と力強い。進撃の上半期から、さらなる飛躍を期す下半期へ。その口火はベジャールが切る。

 《トップハンデが勝てば4年ぶり》レース名が「ラジオたんぱ賞」だった05年までは負担重量が別定で06年に現在のレース名となり、ハンデ戦に変更された。トップハンデは【2・2・0・22】と苦戦を強いられている。今年はベジャールがトップハンデ56キロ。最大5キロ差をはね返せるかどうか。勝てば15年アンビシャス、18年メイショウテッコン以来のトップハンデVとなる。

続きを表示

2022年6月30日のニュース