出走馬の位置取りをグラフィック表示!JRA来春トラッキングシステム導入へ

[ 2022年6月27日 16:01 ]

海外のトラッキングシステムの画像(画面下の馬番が各馬の位置取りを示している)

 JRAは27日、大阪市のアクア堂島NBFタワーで関西定例会見を開き、来春を目標に競走馬トラッキングシステムを導入すると発表した。この夏、札幌で4日間の導入実験を実施。GPSを利用する進化したレース映像を提供し、ファンサービスを充実させると同時に新たなファン開拓にもつながりそうだ。

 競走馬トラッキングシステムとは競走中の位置情報(緯度・経度)をリアルタイムに収集すること。出走馬の番号ゼッケンにGPSアンテナを含むセンサー(送受信機)を装着することで可能となり、レース映像の下部に各馬の走行位置関係をグラフィック表示できる。

 現在のレース映像はJRA職員の手打ちにより、前3頭の馬番のみ表示されるシステム。これがトラッキングシステムだとパッと見で各馬の隊列を確認しやすくなる。昨年12月、中山であった競馬学校生の模擬レースにおいて既に実験済み。JRA総合企画部総合企画室の鶴岡史隆上席調査役は「かなり高い精度になっているので確かな位置関係を表示できるし、お客さまに優しいレース映像を提供できるようになります」とメリットを強調した。

 この夏に札幌で4日間、導入実験を行う。8月20、21日が富士通、9月3、4日がNECの同システムを使用。各対象日の最終12Rにおいて札幌場内の一部テレビモニターおよびターフビジョンで同システムの走行位置情報をライブ表示した中継映像を放映する。

 導入時期は現在スタンド工事中の京都がリニューアルオープンする来春の予定。当初は重賞、あるいはメインレースのみで鶴岡氏は「その後はお客さまのニーズや習熟度に合わせてレース数を増やしていきたい」と見通しを語った。導入だけで数億円、そこからランニングコストもかかるが、将来的には1Fごとのラップや通過順位などグラフィック表示以外にも使える優れもの。全レース導入は「相当、時間がかかる」としながらも、もちろんJRAが目指すのはそこ。ファンにとってはより良い環境で競馬を楽しみ、予想できる時代がやって来る。

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2022年6月27日のニュース