【米BCフィリー&メアターフ】ラヴズオンリーユー 日本馬初制覇!最高峰G1ついに…川田は歓喜の涙

[ 2021年11月8日 05:30 ]

<ブリーダーズC・フィリー&メアターフ>直線で抜け出しレースを制した川田騎乗のラヴズオンリーユー(AP)
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 米国競馬の祭典ブリーダーズカップ(BC)が6日(日本時間7日)、カリフォルニア州デルマー競馬場で行われ、日本馬がダブル制覇の快挙を成し遂げた。BCフィリー&メアターフは19年オークス馬ラヴズオンリーユーがゴール前で抜け出し、05年アメリカンオークスを勝ったシーザリオ以来、日本調教馬2頭目の米G1制覇。その2時間後には、マルシュロレーヌがBCディスタフを制した。両馬を管理する矢作芳人師(60)はBC1日2勝。まさに“矢作デー”だった。また、フィリー&メアターフなど3レースは日本で馬券発売が行われた。

 異国の地で日本馬が歴史的快挙だ。ゴール前の激しい攻防。道中5番手を追走したラヴズオンリーユーが残り100メートル、狭い馬群の隙間をすり抜ける。持ち前の勝負根性をフルに発揮して、そのまま先頭でゴール。香港クイーンエリザベス2世Cに続く2度目の海外G1勝利で、日本馬初のブリーダーズカップ制覇を達成した。

 入線後、ガッツポーズで喜びを爆発させた鞍上の川田は矢作師との抱擁で涙。チーム一丸で勝利をつかんだ。川田は「本当にうれしいです。興奮して覚えてはいませんが、ゴール板を通過した後は思わず拳を握ってしまったかもしれません。日本の関係者やファンの思いをかなえることができてうれしく思います」と感謝を口にした。

 米国最高峰のBC制覇を夢見て、日本馬が初チャレンジした96年タイキブリザード(クラシック13着)から四半世紀。延べ17頭目の挑戦で夢を現実にした。矢作師は「力的にもラヴズオンリーユーは一番強いと思っていたので、自信を持って送り出しました。ジョッキーも非常にガッツのある騎乗だったし、一緒に勝つことができてこんなにうれしいことはない」。鞍上と同様、興奮しきりだった。

 歓喜の勝利から2時間後。マルシュロレーヌが牝馬限定戦のG1ディスタフ(ダート1800メートル)を制し、矢作師はBC1日2勝の快挙を成し遂げた。08年香港マイル5着スーパーホーネットで海外に初チャレンジして以降、これまで延べ25頭を世界に送り出した名トレーナー。16年ドバイターフ(リアルスティール)で海外G1初勝利を果たすと、その後もリスグラシューが19年に豪G1コックスプレートを制すなど世界各国で日本馬の強さを証明してきた。

 そんな師が新たな“ターゲット”に定めたのが競馬大国の米国。「ブリーダーズカップは何としても勝ちたい」。熱い気持ちで挑んだ。UAE、豪州、香港に続く海外制覇となった指揮官は「アメリカ最大、競馬の祭典であるブリーダーズカップで日本競馬の力を見せることができて良かったです」と胸を張る。

 今後は既に招待を受諾している香港C(12月12日、シャティン)に出走する見通し。世界から注目を集める存在となった名牝と名トレーナーの挑戦はまだまだ続く。

 ◆ラヴズオンリーユー 父ディープインパクト 母ラヴズオンリーミー(母の父ストームキャット)16年3月26日生まれ 牝5歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・DMMドリームクラブ 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績15戦7勝(重賞4勝目) 馬名の由来はみんなへの愛を込めて。母名より連想。

 ▽ブリーダーズカップ 1984年に創設された米国競馬の祭典。現在は2日間でG1・13レースを含む14レースが開催され、賞金総額は3100万ドル(約35億円)。フィリー&メアターフ、ディスタフの1着賞金はともに104万ドル(約1億1800万円)。開催競馬場は持ち回りで来年は11月4、5日にキーンランドで開催される。

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