【川崎】騎手紹介⑨ 23年目の重賞初Vから2年 山林堂信彦が体現する継続の力

[ 2021年11月8日 12:00 ]

南関での重賞勝利を目指す山林堂信彦
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 山林堂信彦(43)は97年のデビューから25年目を迎えたベテラン。「継続は力なり」という格言を体現する男だ。長い騎手人生の中で、ひときわ輝いたレースが19年10月20日に盛岡で行われた「第9回OROターフスプリント」だった。6番人気のエイシンテキサスで逃げ切り優勝、通算3607回目の騎乗で重賞初制覇を成し遂げた。

 当日は所属する川崎が初日の開催だった。通常ならそこでレースをしているはずが、名古屋の坂口義厩舎所属のエイシンテキサスに騎乗し、芝のレースで悲願のV。「枠順もよかったですし、無理せずハナを行けたことがよかった。好きな仕事をしているから、達成までの時間を長く感じなかった」と思い出の一戦を振り返った。

 神奈川出身でルーツは福島。「山林堂」という珍しい姓について「福島にいる親戚だけですね。意外と覚えてもらえない」と苦笑するが、名前のインパクトは十分だ。

 騎手を目指したきっかけは「記憶はあいまいだが、小さい頃に放牧している馬を見た。迫力があって、小学校の頃には騎手になろうと思っていた」という。「勉強が好きではなかったので、職業の希望は騎手一択でした。ダメなら厩務員か乗馬クラブもいいかなという感じでした」というほど馬に思い入れがあった。

 念願かなって97年にデビュー。しかし「馬が好きだから大事にしているけど、苦しい思いもさせなければならないことに悩みました」と語る。自身も佐々木國廣厩舎、池田孝厩舎、八木正喜厩舎、そして13年から再び池田孝厩舎へ所属変更した。それだけに「この前の池田厩舎の通算700勝はうれしかった。重賞よりうれしかったかも。この世界に入って、馬主さんや池田先生との出会いが大きかった」と胸の内を明かした。

 そして「この仕事を辞めようかなと思った時期もあった。その時に池田先生が“もう一回ウチでやってみるか”と言ってくださった。僕は一度池田厩舎を辞めているのに、声をかけていただいたことがうれしかった」と感謝した。

 休日については「馬のことを考えている」と話し、その理由を「これから騎手として長いというわけでもない。50歳前後までかなと思っています。調教師という次のステージを頭に入れながら勉強していかなければならない」と明かした。

 今後の目標について「南関で重賞を勝ちたい」と言い切り「一頭一頭、一生懸命乗っているので、そういうところをみてほしい」と語った。地元の声援を受けて、2度目のタイトルを目指す。

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2021年11月8日のニュース