【菊花賞】タイトルホルダー ラスト1冠奪取!亡き父ドゥラメンテにささげる産駒初G1

[ 2021年10月25日 05:30 ]

菊花賞を逃げ切って勝ったタイトルホルダー(左)の背で横山武はNo・1ポーズを決める
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 3冠皆勤でラスト1冠奪取!クラシック最終戦「第82回菊花賞」は24日、京都がスタンド改修中のため42年ぶりに阪神競馬場で行われた。春に皐月賞2着、ダービー6着の4番人気タイトルホルダーが2着に5馬身差をつけて逃げ切りV。皐月賞とダービー馬不在の混戦を制し、G1初制覇を決めた。菊花賞の逃げ切りは鞍上・横山武史(22)の父・典弘(53)が騎乗した98年セイウンスカイ以来で、史上4組目の菊花賞父子制覇。8月に急逝した父ドゥラメンテ産駒のG1初勝利となった。

 勝ち馬探しに頭を悩ませたファンの思いとは裏腹、ヒーローが描いた3分間は実に明快だった。ハナを主張したタイトルホルダーが影を踏ませぬ逃走劇。激しい2着争いを尻目に、5馬身差をつけてラスト1冠をつかんだ。横山武は前走の悔しい気持ちを挟みつつ、長丁場を振り返った。

 「前走がひどい競馬になってしまって、リベンジという思いもありました。弥生賞のように単騎で行ければリラックスできるし、ハナに行こうと。ペースどうこうという意識はなく、ちょっと速くてもいいので馬とリズム良く運べればと思っていました」

 前走のセントライト記念は厳しいマークを受け、直線は前が詰まってしまった。不完全燃焼の13着。あれが本来の力ではない。“逃げる”という表現で大輪を咲かせた。菊花賞の逃げ切りは父・典弘が騎乗した98年のセイウンスカイ以来。勝負どころで2番手との距離は縮まったが、余裕があった。直線に入ってどんどん引き離し、独走。ゴール後は左腕でド派手なガッツポーズをつくった。管理する栗田徹師は開業11年目でJRA・G1初制覇。ジョッキー同様、雪辱という気持ちを込めた。

 「リベンジしてやろうという思いはあったけど、初めての距離に初めての長距離輸送。不安な部分も大きかった。思い切った騎乗をしてくれたおかげで、ゴールまで逃げ切れた。ジョッキーに感謝しています」

 8月に急逝した父ドゥラメンテに贈る産駒G1初制覇となった。母メーヴェは義父の博憲元調教師の管理馬。「父の厩舎にいた繁殖でオーナーと一緒にセリで見ました。“父からの贈り物かな”という思いもあって、込み上げてくるものがあります」。血がつなぐドラマもあった。

 今後は年内に1走するかどうかが焦点となる。トレーナーは「そのあたりは馬の状態を見て、オーナーと相談して考えます」と話すにとどめた。鞍上の横山武は今年の牡馬クラシック3冠が1、2、1着で変則2冠を達成した。「違う馬で2つ勝たせてもらって、関係者に感謝ですね。今年5年目で一番充実した年なのかなと思います」と笑顔。今週の天皇賞・秋はその皐月賞馬エフフォーリアで2週連続G1獲りへ。着実にトップジョッキーへの階段を駆け上がる22歳が、秋のG1戦線を盛り上げる。

 ◇タイトルホルダー 父ドゥラメンテ、母メーヴェ(母の父モティヴェーター)18年2月10日生まれ 牡3歳 美浦・栗田徹厩舎所属 馬主・山田弘氏 生産者・北海道新ひだか町の岡田スタッド 戦績8戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億8745万9000円。馬名の由来は選手権保持者(父、父父、母父などがダービー馬であることから)

 【菊花賞アラカルト】

 ☆騎手 横山武のG1勝利は皐月賞(エフフォーリア)に続き2勝目。複数の牡馬でクラシック2勝以上は61年の野平好男元騎手以来、60年ぶり2度目。父・横山典が98年にセイウンスカイで勝っており、父子制覇は史上4組目。

 ☆調教師 栗田徹師のJRAのG1勝利は管理馬延べ12頭目の起用で初。

 ☆種牡馬 ドゥラメンテ産駒は延べ9頭がG1に出走して今回が初勝利。

 ☆血統 父ドゥラメンテと、祖父キングカメハメハはクラシックを勝っており、史上初の父子3代クラシック制覇。また、父の曽祖母ダイナカール、父の祖母エアグルーヴ、父の母アドマイヤグルーヴがG1を勝利しており、史上初の親子5代G1級制覇。

 ☆関東馬 36年ぶり14回目の関東馬ワンツーで前週の秋華賞から2週連続。

 ☆圧勝 5馬身差以上の勝利は13年エピファネイア以来、8年ぶり9回目。

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