【秋華賞】アカイトリノムスメ100点 ふっくらと淑女へ華麗に変身

[ 2021年10月12日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」馬体診断

アカイトリノムスメ
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 赤い鳥の娘がひと夏越して成鳥になった。鈴木康弘元調教師(77)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第26回秋華賞」(17日、阪神)ではオークス(2着)以来の出走となるアカイトリノムスメに唯一、満点を付けた。達眼がその体つきから読み取ったのは娘から淑女への変貌。10年の3冠牝馬に輝いた母アパパネに続くタイトル獲りを可能にする“成鳥”ぶりだ。 

 野鳥はおおむね1歳の春に急成長を遂げるといいます。若鳥から成鳥へ。外敵に見つかりにくい、くすんだ色の羽毛から異性を引きつける色彩豊かな羽毛に換羽(羽の生え替わり)をしながら大人になっていく。雌鳥なら少女から淑女への華麗なる変身。成長の跡は何より羽毛に表れるので換羽期がそのまま急成長期に当たります。

 ハワイ語で「赤い鳥」を意味するアパパネ(牝馬3冠)の娘、アカイトリノムスメは3歳の夏を境に見違えるほど変わりました。前後肢の筋肉量が増え、腹周りはフックラと丸みを帯びている。特に際立っているのが前駆。胸が深く、肩は立派になりました。首差しは完成した古馬のように抜けている。なにより変化したのはキ甲(首と背の間の膨らみ)です。キ甲の前方にくびれが生じるほど発達してきた。

 鳥の成長が羽に表れるなら、馬の成長バロメーターはキ甲。馬の体高(身長)は地面からこの部位までの長さで示します。キ甲が高く盛り上がることで胸も深くなる。肩も良く寝て、前肢がより前へ伸びるようになる。背丈ばかりか、筋肉量も増えてフックラと幅が出てくる。キ甲と連動して体の隅々まで大人になりました。娘から淑女へ。赤い鳥の娘は若鳥の目立たない羽毛から成鳥の色彩豊かな羽毛に換羽したような成長ぶりです。

 同じ国枝厩舎に所属していたアパパネは体のつくりが硬かったため、たぐるようなピッチ走法でした。対照的に娘はとても柔らかいため大きなフットワークを繰り出せるが、今春は母ほどのパワーがなかった。3歳夏を越してパワーアップした姿に3冠牝馬超えを期待したくなります。

 不機嫌そうな顔は秋華賞時のアーモンドアイにそっくり。この国枝厩舎のもう1頭の3冠牝馬もそうでしたが、リップチェーン(上唇内側の歯茎に掛ける鎖状の馬具)を気にして、口を半開きにし、鼻をとがらせています。オークス(2着)時も同じチェーンをかまされて仏頂面をしていたので問題はないでしょう。立ち姿には力みなし。秋風に尾を涼しげになびかせています。腱がしっかり浮き出た四肢が健康そのもの。毛ヅヤもさえています。赤い鳥の娘は鮮やかに“成鳥”しました。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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