【ダービー】サトノレイナス 牝馬14年ぶり制覇へ“ウオッカの道”たどる温存仕上げ

[ 2021年5月27日 05:30 ]

ルメールを背に併せで追い切るサトノレイナス(右)=撮影・村上 大輔
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 競馬の祭典「第88回日本ダービー」の最終追いが26日、東西トレセンで行われた。桜花賞2着から挑むサトノレイナス(牝3=国枝)は07年優勝ウオッカを思い起こさせる柔らか仕上げ。悲願のダービー初制覇が懸かる国枝栄師(66)も確かな手応えを感じている。37年ヒサトモ、43年クリフジ、07年ウオッカに続く牝馬4頭目制覇の偉業へ、期待は高まる。ダービーの枠順は27日、確定する。

 《最終追い》サトノレイナスの最終追いは驚くほど「静」に満ちていた。ルメールを背にWコースへ。行きたがるのを制御し2馬身前を行くセリユーズ(5歳2勝クラス)を追った。最後までゴーサインは出さず、弾むような脚さばきで内から体を並べ半馬身まで迫った。その体は前には出ていない。6F84秒3~1F12秒8。本番にエネルギーをしっかり温存した。

 ルメールは「先週よく伸びたので今日は無理しなかった。時計は関係ない。一番大事なのは彼女のコンディション。手応えは凄く良かった。バッチリです!!」と笑った。

 同じセリユーズに半馬身先着した先週がWコース5F64秒2の好時計。先週が動なら今週は静の2週合算。実は07年優勝ウオッカの最終リハも似ていた。

 【ウオッカは】坂路4F53秒1でG1馬としては物足りないタイム。角居師は「先週びっしり併せたので、もう強い調教は必要ない」と柔らか仕上げの理由を説明した。

 《距離適性》これまで4戦全てマイル戦。800メートルの延長を克服できるのか?

 ルメールは「彼女は1600メートルではスピード不足。2400メートルでちょうどいい」とむしろ歓迎。国枝師も「距離が延びていいと思っていた。アーモンドアイと比べても距離適性を感じていた」と分析。父ディープインパクトは3冠馬。全兄サトノフラッグは菊花賞3着。血統の裏付けもある。

 【ウオッカは】父タニノギムレットはダービー馬。角居師は「距離は持つ。切れる脚を長く使うので東京は持ち味が生きる」と確信。

 《牡馬相手》初の牡馬との対決。国枝師は先輩との比較や重量から勝算を見込む。「2キロ軽い55キロは大きい。それに(18年3着の)コズミックフォースや(昨年11着の)サトノフラッグと比べても明らかに能力は上。チャンスはある」と前向き。桜花賞の上がり3F32秒9の切れ味は最大の武器だ。

 【ウオッカは】レイナス同様、桜花賞2着から挑戦。ダービー史上最速の上がり33秒0でV。角居師の「この世代の牝馬はレベルが高い。爆発的な末脚は牡馬相手でも」の見立て通りの結果だった。

 《優駿挑戦》デビュー直後からあったダービー挑戦プラン。通常牝馬なら5大クラシックの登録は桜花賞とオークスのみ。しかしレイナスは昨年10月の第1回登録でダービーを含む牡馬3冠への登録を完了した。

 桜花賞2着後、国枝師は「チャレンジしませんか?」と里見治オーナーに進言。名伯楽とオーナーにとってダービー制覇は悲願。14年ぶり牝馬Vへ――2人の熱き思いで偉業への扉が開かれた。

 【ウオッカは】既にオークスを勝っていた角居師も、ダービーは未出走。「谷水オーナーから最終決定権をもらった時、迷わずダービーと答えさせていただきました」。英断が64年ぶり牝馬Vで結実した。

 ▽07年の世相 ウオッカが歴史を塗り替えたのは14年前。「女性の品格」(坂東眞理子著)がベストセラーとなった07年は、他競技でも快挙ラッシュだった。男子ゴルフでは15歳8カ月の石川遼がマンシングウェアKSBカップで男子ツアー世界最年少優勝。プロ野球では中日が53年ぶり2度目の日本一。これにシンクロするように今年も、松山英樹が日本人で初めてマスターズ優勝。85年以来日本一から遠ざかる阪神がセ・リーグ首位を快走している。ダービー史も再び動くか。

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