【秋華賞】無敵デアリングタクト 牝馬史上初の無敗3冠!戻って来たファンの前で豪快差し切り

[ 2020年10月19日 05:30 ]

<秋華賞>デアリングタクトで牝馬三冠を無敗で達成し「3」本指を立てる松山弘平騎手(撮影・亀井 直樹)
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 圧巻の内容で3冠達成!18日、京都競馬場で行われた「第25回秋華賞」は、断然の1番人気に支持されたデアリングタクト(牝3=杉山晴)が中団待機から豪快な末脚を披露、JRA史上初の無敗3冠牝馬に輝いた。牝馬3冠は18年のアーモンドアイ以来6頭目。馬上で3本の指を突き立てた鞍上の松山が見事なエスコートを見せた。

 昭和、平成、令和――。数々の牝馬3冠達成を見守ってきた京都競馬場のスタンドから、大歓声が聞こえてくるようだった。勝負の4コーナー手前。デアリングタクトが先行集団に並び掛けた。外からライバル勢も殺到。それでも、抜かせない。内から迫ったマジックキャッスルを振り切り、3冠のゴールに飛び込んだ。メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイに続く、新時代の3冠牝馬の誕生。鞍上の松山は馬上で何度も左手を突き上げ、3冠を表す“スリーピース”で喜んだ。

 「ホッとしたのと、感謝の気持ちでいっぱいです。史上初となる無敗での牝馬3冠といわれてましたし正直、プレッシャーはありましたが“自分の馬が一番強い”と信じて挑んだ。達成できて、うれしいです」

 スタート後は中団につけ、周りに他馬がいないところへエスコート。「思ったポジションで折り合いもついた。内回りコースなので、しっかり前を捉える位置で競馬をしようと」。前半800メートルすぎから徐々にポジションを上げ、前を射程圏に入れた。スタンドからわずかなファンが見守る前で、豪快に差し切った。

 「勝利を確信したのはゴールしてから。(お客さんからの)拍手はしっかり届いていた。客席に向かって、何度もガッツポーズをしましたよ」

 レース後に見せた力強いパフォーマンスは普段から想像もできない。穏やかな口調で優しい人柄だが、性格は「負けず嫌い」。17年皐月賞(アルアイン)を勝ち、平成生まれのジョッキーとして初のG1制覇を飾った。その後も勝ち星を伸ばし続け、昨年は91勝。そして、今年は秋華賞で99勝目を挙げると、最終12Rで自身初となる年間100勝の大台に到達した。

 「100勝は一つの目標でした。(キャリア)12年目ですけど今日は本当、凄い日、うれしい日です」

 人馬ともにメモリアルな一日になった。これからも、最高のパートナーとともに挑戦を続けていく。「こういった馬に出合えて、自分は幸せ。感謝したい」。今後は未定だが、先輩3冠牝馬のアーモンドアイや、菊花賞で無敗の3冠に挑むコントレイルとの対戦も待ち遠しい。早ければ「ジャパンC」(11月29日、東京)で実現するかもしれない。「引けは取らないと思うし、いい戦いをしてくれると思う」と松山。若き名コンビが新時代を背負っていく。

 ◆デアリングタクト 父エピファネイア、母デアリングバード(母の父キングカメハメハ)17年4月15日生まれ 牝3歳 栗東・杉山晴紀厩舎所属 馬主・㈱ノルマンディーサラブレッドレーシング 生産者・北海道沙流郡日高町の長谷川牧場 戦績5戦5勝 総獲得賞金3億9771万3000円。馬名の由来は父、母名よりの連想で意味は大胆な戦法。

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