【オークス】ピンクダイヤ、ファンに夢をロマンを 森中蕃オーナー単独インタビュー

[ 2019年5月15日 08:30 ]

ピンクのダイヤを手にシゲルピンクダイヤ号を応援する森中蕃オーナー(撮影・後藤 大輝)  
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 「第80回オークス」(19日、東京)にシゲルピンクダイヤを送り出す森中蕃(しげる)オーナーが本紙の単独インタビューに応じた。桜花賞2着で一躍、珍名「シゲル軍団」の看板娘に上り詰めたピンクダイヤ。過去に宝石の卸売りをしていたオーナーが、馬名通りの輝きを放つ愛娘に懸ける期待は大きい。馬名の決め方、自身の競馬観なども余すことなくたっぷりと語った。

 ――いよいよオークス。今の心境は。

 「毎年3500頭くらいの牝馬がいて、その中の18頭に入れるのはそれだけで名誉なこと。桜花賞の時は30人くらいの大応援団が来ましたが、みんなが応援してくれるのがうれしいですね」

 ――その桜花賞は7番人気ながらメンバー最速となる上がり3F32秒7をマークして2着に好走。

 「強かった。確かに強かったですよ。馬群の中をババーッと追い抜いてきた。やっぱりこの馬の武器は瞬発力ですから。応援していたら、それに応えて最後はグイッと伸びてくれる」

 ――馬主を始めたきっかけは。

 「50年ほど前、僕は宝石の卸売りをやっていた。その時の仲間で馬を持とうということになってからですね」

 ――今では年間で50~60頭の馬を購入している。馬を選ぶポイントは。

 「自分は踏み込みが柔らかい馬を選んでいる。馬主さんによっ
ては顔がいいとか、いろいろ言うけど自分は踏み込みですね」

 ――シゲルピンクダイヤは17年北海道セレクションセール(1歳)で1728万円(税込み)で落札。

 「調教師(渡辺師)が欲しくてたまらんような顔をしているから仕方ないでしょう。“ナンボでもいいから買ってくれ”と。それなら“ヨッシャー”って買うしかない。夢やロマンを買っている。もうけようとか計算したことはない。それだと馬なんか買えないですよ」

 ――オーナーの所有馬は馬名のユニークなシリーズでも知られる。馬名はどのようにして決めているのか。

 「魚や動物といろいろ付けたが、世代で50、60頭は持っているからそれを区別するためにシリーズで名前を付けるようにしている。世代世代で何年前っていうのが分かるようにしてある」

 ――期待度の違いで馬名を決めることはあるのか。

 「それは全くない。実は(スタッフに)名前付けとけって言うだけ。僕がこう付けてなんか言わないんです。後から知ることが多いですね」

 ――思い出に残っている馬は。

 「やっぱりシゲルホームラン。たくさん勝ってくれて(13勝)気持ちが良かったね。あとはシゲルリジチョウ。土川さん(土川健之元JRA理事長)に“リジチョウって付けとくわ”って話してたら勝った。“リジチョウが走ったで”って言ったら喜んでいました(笑い)」

 ――注目している騎手は。

 「(藤田)菜七子は乗せたね(過去4回)。あの子は人気がある。ああいうスターをつくらないと。みんなが楽しみで、出れば馬券を買わなくても応援できるようなスターを。そういう人を5、6人でもつくっていかないといけない」

 ――ジョッキーに指示は出すのか。

 「菜七子はかわいらしい顔しとるなって感じだけで、何も指示は出していない。よくジョッキーに指示を出す人がいるけど、ああ乗れ、こう乗れって言っても乗れるわけがないんだから。大きな生き物が一斉に走ったら、その通りに乗れるわけがない。オークスも(和田には)何にも言わない」

 ――阪神馬主協会前会長(現名誉会長)も務め、今後の競馬界に期待することは。

 「今、競馬界が若い人を引き込もうとしているのはいいこと。CMも若者に人気の人を使っているからね。ただ、馬券にハマりすぎたらあかんよ。1日で遊んでも3000円くらい。馬を見て楽しむやつが一番えらい。自分の仕事を一生懸命やって、その上で遊びで競馬を楽しんでもらいたいです」

 ――それでは最後に再度オークスへの意気込みを。

 「調教師からも“状態は良い”と連絡があった。できれば内枠が欲しいね。ただ、勝ちや負けやって騒ぐことは僕はできない。出られるだけで幸せと思う。みんなが楽しんでるのが楽しいですね」

 ◆森中 蕃(もりなか・しげる)兵庫県神戸市生まれ。証券会社の元代表取締役会長。馬主として中央、地方で自身の名前「シゲル」を冠とする競走馬を多数出走させる。阪神馬主協会前会長、現名誉会長。主な所有馬はシゲルデッドクロス(93年阪神障害S・春)、シゲルホームラン(93~95年セイユウ記念、93年JRA賞最優秀アラブ)、シゲルジュウヤク(12年新潟ジャンプS、13年阪神スプリングジャンプ)、シゲルカガ(15年北海道スプリントC)。モットーは「安くて走る馬を見つける」。趣味は自身の所有する船での釣り。

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