【日本ダービー】レイデオロでルメール初V!オークスと両獲り

[ 2017年5月29日 05:30 ]

レイデオロでダービー初制覇のルメール(手前)は口に手を当て喜ぶ
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 先週のオークスを制した「最強コンビ」が歴史に残る偉業を成し遂げた。競馬の祭典「第84回日本ダービー」が東京競馬場に12万大観衆を集めて行われ、2番人気のレイデオロが優勝。向正面で一気に上昇する大胆騎乗を見せたクリストフ・ルメール(38)、19頭目の挑戦となった藤沢和雄師(65)共にダービー初Vを果たした。同一年オークス&ダービー制覇は騎手、調教師共に史上5人目、また同じコンビによる制覇は3組目の快挙となった。

 心地いい5月の風。ルメールが“府中の神”になり、レイデオロは馬名通り“黄金の王”となった。最後まで衰えない闘志と脚力。長い直線を堂々と走り切った愛馬のたてがみを鞍上は優しく撫でた。「今日は気持ちをうまく言葉に表せません。フランスでダービーを勝ちましたが日本は第二の母国だから、今日はとても大切。凄く凄くうれしいです」。さしものルメールにとってもダービージョッキーの栄誉は特別。気持ちよさそうに汗を拭った。

 勝つために動いた。1000メートル通過63秒2の超スロー。スタート後すぐに遅くなると読み切ったルメールは1000メートル通過の手前で14番手から一気に2番手まで上昇した。「ペースがめちゃ遅かったからポジションを上げたけど、馬がリラックスしていたから問題なかった」。遅ければ動けばいいというものではない。人馬の呼吸に確信がなければできない芸当を、いとも簡単そうにやってのけた。

 ぶっつけとなった皐月賞は5着。デビュー4戦目で初黒星を喫したが、ずっとコンビを組んできたルメールの自信は揺るがなかった。「2400メートルは絶対いけるし、最後のスピードが強い」。2週続けて美浦トレセンに駆け付けて追い切りに騎乗。パドックでまたがった感触もいい。「エキサイトしていなくてリラックスし過ぎてもいない。トップコンディションだった。いい仕事をしてくれるスタッフにお礼を言いたい」。だからこそ動いた。豊富なスタミナとスピードの持続力を信じて直線は早め先頭。一見早過ぎるくらいに見えても、人馬の動きを見守っていた師は「しのげるかなと思った」と余力を感じ取っていた。

 表彰式へ向かう道中。「オリビエ(ペリエ)の方がうまいと思っていたけど、この人、上手だわ」と師に脱帽されると、いかにもうれしそうに笑った。鼻差2着に泣いた昨年ダービー(サトノダイヤモンド)の雪辱を果たし、そのペリエに並ぶ3週連続G1制覇。日本の競馬史に金字塔を打ち立てた名手は「レイデオロは大きなポテンシャルを示した。国内だけでなく世界でも活躍できる馬」と最大級の賛辞を贈った。

 今後は未定だが、秋は国内に専念する見込み。天皇賞・秋や菊花賞が選択肢となる。「ダービー馬にふさわしい今後を送らせたい」と師。黄金コンビと黄金の王。ダービー制覇はこれから始まる伝説の序章にすぎないのかもしれない。

 ▽クリストフ・ルメール 1979年5月20日生まれ、フランス出身の38歳。父・パトリスは障害の名手。99年に母国でデビューして、03年のパリ大賞でG1初制覇。02年からは短期免許で日本でも騎乗。05年の有馬記念をハーツクライで制し、JRAでの重賞初制覇をG1で挙げた。15年にJRAの騎手免許を取得。JRA通算610勝。うちG1・13勝、重賞48勝。

 ◆レイデオロ 父キングカメハメハ 母ラドラーダ(母の父シンボリクリスエス)牡3歳 美浦・藤沢和厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績5戦4勝 総獲得賞金3億2277万円。

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