【桜花賞】レッツゴードンキ圧逃V!超スローから会心の上がり33秒5

[ 2015年4月13日 05:30 ]

後続馬を寄せつけず桜花賞を制したレッツゴードンキ(右)

 牝馬クラシック第1弾「第75回桜花賞」は岩田騎乗の5番人気レッツゴードンキ(牝3=梅田)が、好スタートからハナを奪うとすかさずペースを落とし、まんまと逃げ切った。2、3着には桜花賞5連覇を狙ったディープインパクト産駒のクルミナル、コンテッサトゥーレが入った。単勝1・6倍で断然の1番人気だったルージュバックは9着に沈んだ。

【レース結果】

 無敗馬3頭の参戦で盛り上がった桜の女王決定戦は、敗戦をバネにした1勝馬の独り舞台だった。6番枠からゲートを飛び出したレッツゴードンキは、最初の1Fが内のムーンエクスプレス、ノットフォーマル、トーセンラークに続くポジション。そこからスッと行き切ると、前半3Fを37秒1の超スローペースで通過。余力たっぷりで直線に向くと、後続との差は開く一方。上がり3Fを33秒5でまとめ、2着クルミナルに4馬身差をつけてゴールを駆け抜けた。

 殊勲の岩田は「行く馬がいなかったので自分が行こうと。道中は引き付けるレースができたし、馬場も良かったので脚を使えると思っていた。惜しい競馬が続いていたけど、力があるところを証明できました」とパートナーを称えた。

 休み明けの前走・チューリップ賞はハナを切って3着。陣営は昨年の阪神JF(2着)のような中団から差す競馬をイメージして調教をこなしてきた。パドックでも梅田師と岩田が綿密に打ち合わせ。末脚勝負のイメージで一致していた。ところが逃げ馬不在のメンバー。ゲートが開いた瞬間、名手・岩田は瞬時に作戦を切り替えた。「95%は馬の後ろから、と考えていたが…。ゲートを出てからみんな引っ張っていたし、馬がハミを取ったので“もう駄目!”と思った。そのあたりはとっさの判断」。

 仕上がりの良さも光っていた。放牧明けでカイバ食いがひと息だったチューリップ賞をひと叩きして、この中間は稽古を強化。梅田師は「攻めていって馬体重がマイナス4キロ。前走とは中身が違ったし、これで負けたら仕方ないと思えた」と自信を持って送り出した。

 父・康雄氏は今年2月末で調教師を引退。その背中を見て育ち、小さい頃から馬に親しんだ梅田師にとって、このレースは特別な位置付けだった。「華やかだし、関西のトレセン育ちの僕にとっては皐月賞より桜花賞、オークスより桜花賞という感じ。JRAのG1を初めて獲ることができて良かったです」と満面笑み。父が手掛け、短距離ダートで5勝したマルトクの子で大きな花を咲かせた。

 異国で急死した僚馬にささげる勝利でもあった。昨年オーストラリアに遠征したアドマイヤラクティが、コーフィールドCで07年に厩舎を開業して以来、初のG1制覇を達成。ところが次走メルボルンC22着後に心不全で死んだ。「きょうゴールした瞬間に空を見て、オーストラリアで星になったアドマイヤラクティのことを思いました。ラクティの活躍に恥じない成績を残せるよう、これからも厩舎一丸となってやっていきたい」と語った。

 次走はNHKマイルC(5月10日)とオークス(5月24日)の選択肢。「血統的なことがあるし、もともと距離が長いところはどうかと思っていた。オーナー、ジョッキーと相談して決めます」。春2冠へ。うれしい悩みができたトレーナーは最高の笑顔で締めくくった。

 ◆レッツゴードンキ 父キングカメハメハ 母マルトク(母の父マーベラスサンデー)牝3歳 栗東・梅田厩舎所属 馬主・廣崎利洋氏 生産者・北海道平取町の清水牧場 戦績6戦2勝 総獲得賞金1億7693万5000円。

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