【ドバイWC】トランセンド 日本流で77秒7

[ 2012年3月29日 06:00 ]

<ドバイWC>馬なりでも好時計を出したトランセンド

 世界最高賞金レース・ドバイワールドC(メイダン、AW2000メートル)に臨む日の丸を背負った“3頭の矢”が態勢を整え終えた。前日のスマートファルコンに続き、28日はトランセンドとエイシンフラッシュが最終追いを消化。午後に枠順抽選が行われ、エイシンフラッシュが2番、スマートファルコンが5番、トランセンドが10番に決まった。

 2年連続の参戦。昨年のドバイワールドC2着馬トランセンドに地元UAEはもちろん、欧米のメディアも熱い視線を注いだ。「あれがトランセンドだ」。あちこちで声が上がり、カメラが追いかける。各国のホースマンも立ち止まって動きを見つめていた。

 この日、ドバイ入りした前田幸治オーナーと安田師がメイダン競馬場に到着するのを待って、午前7時から追い切りがスタートした。オールウエザーコース(タペタ)に入ると軽快なフットワークでスピードに乗る。単走でほぼ馬なりだったが、6F77秒7と速いタイム。ラスト1Fは11秒7と伸ばしてきた。

 「最終追い切りをサーッと流すのは日本と同じパターン」とした安田師は、間髪入れずに作戦面にも言及した。「スマートファルコンは速いし、アメリカの馬も前に行きたいのがいる。こちらの戦法?どうするか難しいところだね」

 逃走意欲を示しながらも7着と不発に終わったのが前走・フェブラリーS。それだけに指揮官は最後まで「逃げる」という言葉を発しなかった。あきらかに今回は作戦変更の意図が見え隠れする。「昨年は周りが無警戒だったので楽に逃げられた」と振り返りつつ「今年は内で閉じ込められるのだけは避けたいね」とも続けた。昨年11月のG1南部杯ではハナへ行くと見せかけて好位2番手追走。ゴール前できっちり差し切っている。逃げは封じての好位追走策で活路を見いだす作戦も予想される。

 取材に応じた前田オーナーは「ここに来たらアッラーの神にお祈りするよ」とイスラム圏に足を踏み入れたとあって味なコメント。「昨年みたいに4コーナーを回ってドキドキするレースを期待したい。頭の中が真っ白になるような場面を想像しているよ」

 昨年はヴィクトワールピサには抜かれたものの日本馬ワンツーの快挙を達成した。今年こそは頂点に立って感動を味わいたい。“頭の中が真っ白”はこれ以上ない言葉だ。

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