【有馬記念】ブエナ絶好「これ以上良くなったら飛ぶ」

[ 2011年12月22日 06:00 ]

<有馬記念>CWコースで追い切るブエナビスタ

 これまで数え切れないほど駆け抜けたCWコース。松田助手を背に競走生活最後の追い切りに臨んだブエナビスタが、バネの利いたフットワークで軽快にラップを刻んでいく。道中しっかりタメを利かせ、追い出してからは抜群の反応。しまいグイグイ伸びて6F80秒0~12秒3でゴールへ。ゆったり軽やかに、それでいて楽に時計が出る。これが名牝だ。走り慣れたウッドチップでG1・6勝馬が絶好の動きを見せつけた。

 追い切りを見届け、厩舎に戻って上がり運動をチェックした松田博師はにこやかな表情。ジョークを交えながら感触を伝えた。

 「今朝は予定通り単走。動きは問題なかったな。前走も状態は良かったし、これ以上は良くならん。良くなったら羽が生えて飛んでいくぞ(笑い)」

 休み明けの天皇賞・秋はまだ良化の余地を残す段階で結果は4着。そこから上昇カーブを描き、ジャパンC1着とあらためて昨年の年度代表馬が力を示した。既に今季2戦を消化して中間の調整も順調とくれば、これほどの実績馬にあれこれ求める必要はない。トレーナーの口ぶりからはそんな信頼感が伝わる。

 その前走ジャパンカップは1年前の1位入線2着降着の借りを返す涙のGI制覇。1年以上もの間、白星から遠ざかっていても松田博師はこの馬を信じていた。勝つにしろ負けるにしろ、結果はトレーナーである自身の責任。馬と人を思いやる、その気持ちがあのレース後の涙となってあふれ出た。

 「去年はジャパンカップの件があったから有馬記念(2着)でスミヨンは外を回すしかなかった。あれだけのジョッキーに厳しい競馬をさせることになって申し訳なかった。それなのに今年(ジャパンカップを)勝った時スミヨンが凄く喜んでくれて…。それにも泣けた。岩田には春の状態が良くないときに乗ってもらって申し訳ないことをしたから前走で勝ってくれたのは大きいよな」

 笑顔あり涙ありの現役生活もラスト1戦。全力でこのグランプリのタイトルを獲りにいく。陣営からバトンを託される岩田は会見でキッパリ決意を口にした。

 「現役最強っていうのを証明したい。一年を締めくくる有馬記念を勝つことは僕にとっても夢。自分がしっかり乗れば結果はついてくると思います」

 人馬一体で臨む大一番。女王が歓喜のゴールを目指していく。

続きを表示

2011年12月22日のニュース