【有馬記念】ペルーサ猛特訓!もう出遅れない

[ 2010年12月21日 06:00 ]

厩舎内で引き運動を行うペルーサ

 あと6日と迫ったグランプリ「第55回有馬記念」。注目の1頭ペルーサがゲート難克服へ、ついに目覚めた。連日の猛特訓が実を結び、今ではゲートの速い馬と併せてもトップスタートが切れるほど。前人未到の有馬記念4勝目を狙う藤沢和雄調教師(59)にとっても頼りになる愛馬が今度は能力全開だ。

 26日、15時25分。有馬記念のスタートの瞬間、全国の競馬ファンの視線は1点に集まる。ペルーサがすんなりゲートを出るのか、出ないのか。ダービー以降、人気を背負いながら4戦連続で出遅れてしまった。だが、今回は違う、と断言する。
 連日のゲート猛特訓。厩舎で数々の名馬に携わってきた葛西助手が自信を見せる。
 「これまでゲート練習でうまくなった馬は何頭もいる。ストームファング、ピサノペガサスもそうだった。ペルーサはまだ3歳だし、練習した分だけうまくなっている。うちの厩舎はよくゲート練習しているからね」
 G1勝ちのある美浦の調教師も「ゲートは練習すれば必ずうまくなる。ゲートが開いた瞬間に馬に刺激を与えるなどして出るように体に覚え込ませれば出るようになる」と語り、練習の効果の大きさを証言した。
 それを証明したのが15日の1週前追い切り後に行われたゲート練習。ペルーサを含む3頭で行われたがロケットスタートを決めて他馬を置き去りにした。本番3週前から毎週、美浦に駆け付けて練習に付き合った主戦・安藤勝は「ここに来て馬が納得してくれたようだね。ゲート内で後ろにもたれることもなかった。でもこんなに速く出なくてもいいのにね。普通でいいよ」と手応えを得て、苦笑交じりに話せるほど余裕が出てきた。
 「課題のゲート難克服が有馬出走の条件」と公言していた藤沢和師もその様子を見て出走へゴーサインを出した。秋3戦を見てもすべてのレースで上がり3F最速の数字をマークしたように最後の直線で見せる末脚は群を抜いている。指揮官は「出遅れたら最後に脚を使わされて苦しい思いをするのは自分なのになあ。普通に出れば楽に競馬できるのに」と皮肉たっぷりに語るほどその素質にほれ込んでいる。
 もともとゲートは苦にするタイプではなかった。葛西助手は「頭が良すぎるがゆえにわざとやっているのでは」との見解。それだけに陣営は時間をかけて馬が納得してゲートを出るのを待っていた。それが大一番を前に実を結ぼうとしている。英雄マラドーナの愛称から名付けられたペルーサ。W杯イヤーを締めくくるのは、ゲートを出て好位から繰り出される神の脚に違いない。

 ≪出遅れ原因は“ジャンプ”≫ペルーサは最初から出遅れ癖があったわけではない。デビュー戦、2戦目は、むしろトップスタートを切ったくらい。3戦目の若葉Sはタイミングが合わなかったが、レースに影響を及ぼすほどではなく、2番枠の青葉賞もスムーズなスタートを切っている。だが、ダービーは完全に2馬身の出遅れ。秋初戦の毎日王冠が最も深刻で、体勢を崩すように2馬身遅れ。さらに行き脚がつかず、向正面入り口で4馬身後方に置かれた。安藤勝は「お尻を落として、頭を上に向けてジャンプするように出るから、2、3完歩目も遅れる」と振り返った。天皇賞でやや改善したが、JCは再びジャンプするような格好で2馬身遅れ。外の馬に進路をカットされ、最後方追走となった。

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2010年12月21日のニュース