尾上右近 “二刀流”に挑戦中 「錦秋十月大歌舞伎」で佐藤忠信役&語り手

[ 2025年10月3日 05:09 ]

キツネのポーズを取る尾上右近
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 尾上右近(33)が1日に開幕した「錦秋十月大歌舞伎」(東京・歌舞伎座、21日まで)で二刀流として奮闘している。

 歌舞伎三大名作の一つ「義経千本桜」の通し上演で、市川團子(21)とのダブルキャストで狐忠信の大役に挑戦している。その一方で、自身が出演しない日は、歌舞伎の舞台上で独特の節をつけて物語を語る「清元」としても登場。第3部「吉野山」で、團子の舞踊を物語の語り手として美声で支える。

 右近は歌舞伎俳優と並行して清元として活動しており、2018年に父が名乗っていた清元栄寿太夫の名前を襲名した。「お客さまや周りからは両方やる特異な存在として見られている。その期待に沿うようにやりつつ、淡々とベストを尽くしたい。栄寿太夫として語らせていただくことも自分の中の歴史の循環だと思うし、その循環が歌舞伎における歴史の循環と重なっていく実感があるのが、大役をやるということだなと思っています」と“二刀流”の心中を語った。

 吉野山は右近が人生で初めて観劇した演目でもある。その時は父の清元延寿太夫が立唄を勤めていた。今回の吉野山のBプロでは同い年の中村種之助(32)が逸見藤太、中村米吉(32)が静御前を勤める。「歌舞伎座で同級生3人でやれる。過去にはこんな日が来るなんて思い描いていても、思えていなかった自分がいる。ちょっと泣きそうになりますよね」と感慨ひとしおだ。

 歌舞伎俳優としては11日の第3部からの出演となる。「四の切」では團子が演じる宙乗りなど活気にあふれる澤瀉屋(おもだかや)型とは違い、右近が演じる音羽屋型はキツネの妖艶さが持ち味だ。2つの型でクライマックスの演出も異なる。そうした違いが楽しめるのもダブルキャストの醍醐味でもある。

 「カレーに例えると、作りたてのカレーが澤瀉屋型で、そちらを好む方もいる。音羽屋型は3日寝かせたカレーで熟成したうま味があります。それを楽しむ方もいる。それぞれ違いがあって、お客さんにはどっちもいいよねと思ってもらいたいですね」と大好物のカレーに例えて意気込んだ。

 目指すのは「妖気」を感じさせる「四の切」だ。「きつねはあらゆる存在に対する距離感が人間とは違う。それが妖気を感じさせるところだと思うんです。そこを表現することに音羽屋型の四の切は眼目を置いているんだと思います」と力を込めた。若さあふれる團子の澤瀉屋型とはまた違った魅力を観客に提供していく。

 「音羽屋型にはそぎ落としの部分もある。動きやけれん味ではなく、そこにキツネとして存在するために、時代、自分の生理的なもの、あらゆるものをすりあわせた時にできたのが五代目、六代目(菊五郎)が作った音羽屋型の四の切だと思うんです。だからその精神を受け継ぐことも今回の大きな役割だと思います」と分析した。

 「今回は古典でしっかりお客さんを満足させる俳優になる大きな一歩」。唯一無二の経験を糧に右近がさらなるスター街道を歩んでいく。

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