型破りなカレー屋ネタが話題の「家族チャーハン」 正反対の個性をスパイスにコク深い漫才を求めて

[ 2025年3月7日 05:00 ]

笑顔でポーズを取る家族チャーハン(左から)大石、江頭
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【'25 NEXTブレーク】 お笑いコンビ「家族チャーハン」がじっくりと力をつけている。「元ニート」のボケ大石(32)と名門劇団「文学座」出身のツッコミ江頭(34)からなる期待の若手コンビ。昨年末の漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」では結成2年目ながら準決勝進出。15日には2度目の単独ライブが控える。「一生やるなら漫才」。真摯(しんし)に漫才と向き合い、勝負ネタに登場するカレーのようにうまさを熟成させていく。 (前田 拓磨)

 「カレー屋のネタができたことが芸人としてかなりターニングポイントだった」と江頭は語る。カレー屋のネタとは昨年のM―1グランプリ敗者復活戦でかけた勝負ネタ。タッチパネル端末の代わりに、漫画「タッチ」の単行本を渡されるなど、注文だけで一苦労する型破りなカレー店が舞台。訪れた江頭がテンポよくツッコんでいくというコント漫才が大きな話題を呼んだ。

 原型は江頭が以前組んでいたコンビ「ロンゲストスプリング」としてつくっていたネタ。結成前から、その可能性に注目していた大石とともに2023年のM―1グランプリ1回戦直前からテコ入れ。約1年かけて“熟成”させ、勝負ネタに仕上げた。磨き上げたこのネタで神保町よしもと漫才劇場への所属が決まるなど、仕事は増加。M―1前後には2人ともアルバイトをやめることができ、芸人として一本立ちできた。

 かけ持ちしていた夜勤バイトをやめられた江頭は「ちゃんと眠れるのは最高です」と、ブレークで獲得した睡眠時間の喜びをかみしめる。大石も「ニート時代や芸人でくすぶっている時の、いつ寝て起きても良い生活と逆の生活ができているのがうそみたい。頑張る癖がついてきた」と頬を緩める。

 カレーのようにコンビの経歴も味わい深い。江頭は樹木希林さん、橋爪功らを輩出した名門劇団文学座の出身。「芸人をやらずに終わったら後悔する」と一念発起し、芸人に転身した。一方の大石は芸人になるまで、ほぼニートのような生活を送ってきたが「焦りがあった」と意を決して、芸人の道に。それぞれ別のコンビや、ピン芸人を経た後に「比較的ストレスフリーな関係」と感覚が合ったことで結成に至った。

 コンビの持ち味は「見た目のアンバランスさ」「コンビ間の絶妙なパワーバランス」。端正な顔立ちでミュージシャンのような風貌の大石と、丸刈りで強面(こわもて)の江頭。正反対の見た目が観客に強烈な印象を残す。性格も対照的で、社交的で人に興味のある大石が芸人仲間の情報を集めてくる。一方で大石に欠けていた“頑張る習慣”は江頭が厳しく指導して改善。アンバランスだからこそ、互いの苦手な部分を補い、高め合う関係が強みとなっている。

 正反対の味がぶつかることで、新しい味わいが生まれる。漫才では文学座仕込みの繊細な演技ができる江頭と「普通の人より演技が下手」な大石の対比がリズムと笑いを生み出す。「大石は下手ですけれども、僕さえしっかりしていれば味がある下手さで、2人ともよく見える」と江頭は分析する。

 結果を出すまでは漫才の道を突き詰める。ともにコントに引かれる気持ちもあるが、江頭は「コントはある程度区切りがついてから。俳優のオファーが来ても今は受けないと思います」とあくまで漫才を極めていくつもりだ。大石も「レベルアップしたい。現状維持を繰り返して、賞レースの成績も落ちて解散するコンビにはなりたくない」と強気の姿勢だ。スパイスのように互いを引き立てる2人が、カレーのごとく芸に深みを出していく。

≪15日に2度目単独ライブ≫
 15日には神保町よしもと漫才劇場で2回目の単独ライブ「チャーハン―4x10月」を開催する。8本前後の新ネタを披露する予定。結成当初はネタ数の少なさに困ることもあったが、3年目に突入し順調に数を増やしている。江頭が「できてから、どこに出しても恥ずかしくない状態に持っていくのは時間がかかる」と言うように、コンビはネタを磨きに磨いて勝負ネタに昇華させるスタイル。今年の賞レースを席巻する原石が埋まっていることに期待したい。

 ◇家族チャーハン 1993年(平5)1月15日生まれ、東京都練馬区出身のボケ大石と、1990年(平2)6月24日生まれ、大阪府枚方市出身のツッコミ江頭からなるコンビ。2人は東京NSC(吉本総合芸能学院)の25期で同期。23年1月1日に結成。

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