BPO NHK「ニュースウオッチ9」報道を「放送倫理違反」認定 ワクチン接種後死去の遺族巡る放送

[ 2023年12月5日 15:54 ]

東京・渋谷のNHK社屋
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 放送倫理・番組向上機構(BPO)は5日、今年5月にNHKで放送された報道番組「ニュースウオッチ9」での新型コロナウイルスに関する不適切な報道について、「放送が放送倫理基本綱領やNHKの放送ガイドラインに反しているとし、放送倫理違反があったと判断した」と発表した。

 今年5月15日に放送されたNHKの報道番組「ニュースウオッチ9」では、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を新型コロナに感染して亡くなった人の遺族のように視聴者に誤認させた。同局は8月1日付で計4人を懲戒処分にすると発表。取材を担当した報道局映像センターの職員と上司に当たる同センターのチーフ・リードはそれぞれ出勤停止14日、同番組編集責任者の報道局チーフ・リードは減給、同番組編集長の報道局専任部長はけん責の処分となった。

 番組でも再度この問題を取り上げ、「視聴者を誤認させる不適切な伝え方をした」として4人らの懲戒処分を報告。5月に取材した遺族3人の映像を改めて放送し「3人はいずれもワクチンを接種したことが原因で家族が亡くなったと訴えています」と伝えた。

 BPOはこの日、「NHKは2023年5月、『ニュースウオッチ9』の中で『新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常 それぞれの思い』という1分5秒のVTRを放送した。3人の遺族のインタビューが含まれており、そこには『父を亡くした〇〇さん』などのテロップがつけられていた。前後の脈絡などから3人は、家族が新型コロナウイルスに感染して亡くなった遺族であると受け取るのが自然な映像だった。しかし実際には、3人は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族であった」と説明。

 「委員会は、ワクチン接種による被害を訴える遺族を、新型コロナウイルス感染によって亡くなった人の遺族と誤認させるような放送が、なぜ、どのようにしてなされたのか検証する必要があるとして、同年6月の委員会で審議入りを決めた。関係者のヒアリングや議論を重ね、次のような事実を認めた」として、「VTR制作担当者と直属の上司は、コロナウイルスに感染して亡くなった人と、ワクチン接種後に亡くなった人を、広い意味で、コロナ禍で亡くなった人にかわりないという不適切な認識をして放送に臨んだ」「この担当者はインタビュー取材の相手である遺族に対し、ワクチンの問題を放送で扱わないという自分の意図を明確に説明せず、取材者としての基本を実践していなかった」「この担当者が取材経験などの面で十分とはいえないにもかかわらず、組織内で十分なサポートを受けていなかった」「放送前に行われた試写において、適切なチェックがなされなかった」と、4点を問題視した。

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