25年大河主人公・蔦屋重三郎とは?“江戸のメディア王”TSUTAYAの由来?「べらぼう」に込めた意味

[ 2023年4月27日 15:50 ]

2025年に放送される大河ドラマ第64作「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」に主演する横浜流星(左)と脚本の森下佳子氏(C)NHK
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 NHKは27日、2025年に放送される大河ドラマ第64作「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」に俳優の横浜流星(26)が主演すると発表した。横浜はNHKドラマ初出演。脚本は17年の大河「おんな城主 直虎」の森下佳子氏が担当し、江戸時代の版元で浮世絵師の喜多川歌麿や東洲斎写楽を世に出したことで知られる蔦屋重三郎の生涯を描く。制作統括の藤並英樹チーフ・プロデューサーはタイトル「べらぼう」に込めた意味を明かした。大河の主人公となった“蔦重”とは?

 蔦屋重三郎(1750―1797)。制作側は「親なし、金なし、画才なし…ないない尽くしの生まれから“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快男児」と銘打つ。彼が世に送り出した東洲斎写楽は、忽然と姿を消した謎の浮世絵師。日本史史上最大の謎の一つになっている。

 物語の舞台は18世紀半ば、人口100万人を超え、天下泰平の中、世界有数の大都市へと発展した大都市・江戸。“蔦重”こと蔦屋重三郎は江戸郊外・吉原の貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れ、引手茶屋の養子に。貸本屋から身を興し、その後、書籍の編集・出版業を始める。

 折しも、時の権力者・田沼意次が生んだ自由な空気の中、江戸文化が花開き、平賀源内ら多彩な文人が輩出。蔦重は朋誠堂喜三二ら文化人たちと交流を重ね、「黄表紙本」という挿絵を用いた書籍でヒット作を次々と連発。33歳の時に「江戸のシリコンバレー」こと日本橋通油町に店を構えることになり“江戸の出版王”へと成り上がっていく。彼が見い出した才能は喜多川歌麿、山東京伝、葛飾北斎、曲亭馬琴、十返舎一九といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠、日本文化の礎となる。

 しかし、松平定信による「寛政の改革」において、蔦重の自由さと政治風刺は問題になり、財産の半分を没収。その後も幕府からの執拗な弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で闘い続ける。

 書店・レンタルビデオ大手「TSUTAYA」の名前は、創業者・増田宗昭氏の祖父が営んでいた事業の屋号「蔦屋」と、蔦屋重三郎の両方に由来するという。

 ▼制作統括の藤並英樹チーフ・プロデューサーのコメント

 “べらぼう”とは、そもそも「たわけ者」「バカ者」という意味でした。それが時を経て「甚だしい」「桁外れな」という「普通を超える」様を表す言葉に変化。江戸の言葉の「べらんめえ」の語源ともいわれています。

 その周囲には常識外れにしか見えない発想・行動から、蔦屋重三郎はきっと「べらぼう奴(め)!」と罵られていたことでしょう。しかし、その扱いは時代の寵児へと変わっていきます。そんな重三郎に親しみと尊敬を込めた言葉として「べらぼう」と名付けました。

 蔦屋重三郎が生きた1700年代の江戸時代は、町民文化が花開いた時代です。かつて映画やドラマなど様々な映像作品や物語で描かれてきた“時代劇”の時代。「べらぼう奴!」といわれながらも八百八町の江戸を舞台に躍動する蔦屋重三郎を主人公に、市井の人々の生きざまや喜怒哀楽を描く娯楽時代劇を、放送100年の節目にお届けしたいと思います。

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2023年4月27日のニュース