「鎌倉殿の13人」武士の名は…公暁の“動機”にネット号泣「まさか」三谷マジック再び!実朝首級を髑髏に

[ 2022年11月30日 06:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第45話。公暁(寛一郎)は政子に「4代目は私です。それだけは、忘れないでください」(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は今月27日、第45話が放送され、ついに鎌倉最大のミステリーにして鎌倉最大の悲劇「実朝暗殺」が描かれた。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。物語は、江戸幕府まで続く強固な武家政権樹立を決定づけた義時と朝廷の決戦「承久の乱」へと向かう。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は大河8作目にして初主演に挑んだ。

 第45話は「八幡宮の階段」。建保7年(1219年)1月27日、雪が降り積もる“運命の夜”。右大臣に昇進した3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)は拝賀式を終え、鶴岡八幡宮の大階段を下り始める。「覚悟!義時!」。大銀杏の陰に潜んでいた公暁(寛一郎)が列を襲撃。太刀持ちを斬りつけた。しかし、太刀持ちは公暁が狙った北条義時(小栗)から源仲章(生田斗真)に入れ替わっていた。仲章は悲鳴。公暁の門弟に背後から刺されると血を吐き「寒い…。寒いぞ…。寒いんだよ!」。公暁は人違いに気づいたものの、仲章にトドメを刺した。

 そして対峙し、見つめ合う実朝と公暁。実朝の脳裏には“おばば”こと歩き巫女(大竹しのぶ)の声がよみがえる。「天命に逆らうな」――。実朝は北条泰時(坂口健太郎)に手渡された小刀を落とし、公暁に向かって頷いた。

 公暁が斬りかかり、実朝の血が雪を赤く染める。「阿闍梨公暁、親の敵を討ったぞ!」。しかし、読み上げる途中に声明文を実朝の亡骸の上に落としてしまい、血がついて読めない。義時は「斬り捨てよ!」。公暁は警固の兵から逃げた。義時は九死に一生を得る。北条時房(瀬戸康史)は「兄上は天に守られているようです」とつぶやいた。

 政子(小池栄子)は長男・源頼家(金子大地)に続く息子の悲運に呆然自失。実朝の乳母・実衣(宮澤エマ)は怒髪天衝。そこへ千世(加藤小夏)が現れ、政子に紙を差し出した。「出(いで)ていなば 主(ぬし)なき宿と なりぬとも 軒端(のきば)の梅よ 春を忘るな」…。最愛の夫の別れの、辞世の歌だった。

 一目だけでも政子に会いたい公暁は、御所に忍び込む。「知らしめたかったのかもしれません。源頼朝を祖父に持ち、源頼家を父に持った、私の名を」「公暁…。結局、私には武士の名はありませんでした」「4代目は私です。それだけは、忘れないでください」と祖母に告げ“鎌倉殿の証しの髑髏”を抱えて姿を消した。

 公暁は三浦館にたどり着き、乳母夫(めのと)・三浦義村(山本耕史)に助けを求めた。頼家の死の真相を知らない公暁に暴露し、義時と実朝を許してはならないと焚きつけた義村だったが、義時に詰問され、既に謀略を白状。食事中の公暁を背後から刺した。首桶を義時に差し出し「この先も三浦一門、鎌倉のために身命を賭して、働く所存にございます」と忠誠を誓った。

 ヒール役の公暁に対して最後は感情移入にいざなう作劇は、仕事人・善児(梶原善)らと同じく“三谷マジック”。史書「吾妻鏡」によると、公暁は実朝の首級を持って後見人・備中阿闍梨の館に逃げ、食事中も首級を手放さなかったという。「実朝の首級」を「鎌倉殿の証しの髑髏」に置き換えたのも見事の一言。寛一郎も繊細な目の動きや息遣いを披露、孤独な青年の苦悩を体現した。

 SNS上にも「公暁の動機が承認欲求だとすると、実朝が頷いてくれたの最大級の承認かもなって」「実朝殿がほぼ一言も発することなく死を受け入れて亡くなるのが神々しかった。代わりに公暁が雄弁で、最後の最後に感情移入しちゃったな」「偉大な祖父と偉大な父を持ちながら、幼くして鎌倉を追われた公暁が『自分のことを知ってほしかった』と言うのが何かあまりにも心に突き刺さってしまって、ここで耐えきれずに号泣している」「公暁のあの言葉は、日本史を教える身としても、なるほど、と思える動機でした」「実朝を斬った後、実は公暁は実朝の首を持っていたというが、鎌倉殿の座に執着した公暁が鎌倉殿の証しの髑髏を大切に持っている演出の方が泣ける。まさか泣けるとは思っていなかった。号泣」などの声が続出。反響を呼んだ。

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