渡辺名人 “打倒藤井”へ王将戦リーグ勝ち抜く! 名人戦3連覇から一夜、棋王就位式で決意

[ 2022年5月31日 05:00 ]

将棋の第47期棋王就位式で授与されたトロフィーを手にする渡辺明名人
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 渡辺明名人(38)=棋王含め2冠=が30日、岡山県倉敷市で会見し、前日29日に第80期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)7番勝負第5局に勝利し、4勝1敗で3連覇を達成した喜びを改めて語った。加えて今年後半の目標に本社主催・第72期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグを挙げた。新年から王将戦、棋王戦、名人戦を立て続けに消化。休養しながら「そこ(リーグ)を逆算してやる」と8月以降、本格準備に入る。

 名人戦は2期連続の最強挑戦者・斎藤慎太郎八段(29)を4勝1敗で退けた。対局後は眠れない棋士が多く、渡辺もブログを更新したり、ファンである競馬のG1「第89回日本ダービー」を見直して過ごした。そこで確認した、武豊(53)による史上最年長ダービージョッキーの快挙。触発されるように「見た目、将棋も若々しい40~50代になりたい」と語った。

 年明け以降、王将戦、棋王戦、名人戦と番勝負を消化。王将戦こそ藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含め5冠=に4連敗で屈したが、他2冠は防衛した。22年下半期のターゲットは今秋、4期ぶりに参戦する王将リーグ。「番勝負と同じくらいの準備を整えないと勝ち抜けない。8月になったら考えたい」とプランを披露した。

 藤井への挑戦権を争い、渡辺に永瀬拓矢王座(29)、羽生善治九段(51)、近藤誠也七段(25)の3人が残留組として参戦する。ここに予選から勝ち上がる3人が加わる。

 名人防衛でまた1年、月1局ペースの順位戦がなくなった。「トップ棋士とのまとまった対局があるのはそこ。A級とほとんど同じメンバーと短期間にガッとやる」。貴重な実戦の舞台としても全6局、高い意識で臨む。

 下半期の過ごし方は王将に在位したここ3年から一変する。「王将リーグを逆算してやる。だから去年ほど休めない」と苦笑い。早速6月3日から藤井に永瀬が挑んで始まる、棋聖戦5番勝負へ関心を示し「藤井王将にどう立ち向かうかはトップ棋士が抱える課題」と指摘。両者によるタイトル戦は初めてで、打倒藤井を見据えたとき、その練習パートナーでもある永瀬が打ち出す作戦は参考材料になり「攻略の糸口がつかめれば」と語った。

 倉敷から帰京すると3月に10連覇した、棋王の就位式に出席。大山康晴15世名人、羽生に続き3人目となった2桁以上の連覇について「一つでも連覇を伸ばせるように頑張りたい」と意欲を語った。式には渡辺が大ファンのプロ野球ヤクルトのマスコットキャラ「つば九郎」が副賞のプレゼンターとして来場。神宮球場の年間ペアシート券がプレゼントされた。

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