渡部陽一氏、ウクライナ取材の目的 戦争犯罪の傷跡を「自分の目で確認して記録に残すこと」

[ 2022年5月31日 13:25 ]

 戦場カメラマンの渡部陽一氏(49)が31日、ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」(月~木曜前8・00)に出演。ロシアから侵攻を受けるウクライナの現状を語った。

 渡部氏は5月初旬から中旬までの約10日間、ウクライナで取材を敢行。隣国ポーランドから鉄道で首都キーウに入り、アパートの一室を拠点に大量虐殺が起きたブチャ、イルピン、ホストメルの惨状を記録した。

 現在進行形でロシアからの侵攻が続くウクライナに入った理由を「今回の戦争の一番の特徴は、主権国家のウクライナにロシアが武力を使って侵略戦争を起こしたという現実です。この意味というのは大量虐殺、ジェノサイドという戦争犯罪を起こした傷跡がどこに物証として残っているかを自分の目で確認して記録に残すこと」と説明。「キーウ北西部30キロ地点のイルピン、ブチャ、ホストメル、この3つの町をターゲットとして入りました」とした。

 実際に現地では「ロシア軍により動く物はすべて破壊する。その残虐な傷跡がいたるところに残っていました」と生々しい惨状を目の当たりにした。

 「一番顕著だったのは乗用車。ロシア軍が侵攻した当時、イルピンやブチャの市民は乗用車を使って町から逃れようとしたんですね。でも電光石火のスピードでロシア軍が入ってきて、市民が逃げている、ウクライナ軍兵士、関係者じゃないことが分かっていても動く物を一斉に。乗用車がすべて銃弾で蜂の巣のように破壊し尽くされ、塵のような状態になっていた」と無抵抗な一般市民の車両がことごとく破壊されていたという。

 「その車両の中に残されているのが、家族の暮らしの避難するための物であったり、避難で使う物であったり、家族がそこで暮らしていた。大切な一般市民が無差別に殺害されている傷跡が、車の残虐な破壊現場からはっきりと見えました」と渡部氏は言う。

 さらに「その周辺には軍事施設だけでなく一般家屋が集中している住宅街、そこも廃墟のように破壊されるというよりも高温の爆撃によって溶かされている状態。暮らしそのものが軍関係者、関係なく大量に虐殺する。その現場がブチャ、イルピン、ホストメルに残っています」とロシア軍の侵攻がいかに理不尽かを訴えた。

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2022年5月31日のニュース