須田亜香里SKE卒業発表 数え切れない涙の歴史…“泣き虫あかりん”返上、強さ身につけ巣立つ決意

[ 2022年5月30日 20:20 ]

SKE48劇場での公演で卒業を発表した須田亜香里(左から2人目)
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 SKE48須田亜香里(30)が30日、名古屋市内で行われた劇場公演でグループ卒業を発表、13年に及ぶアイドル生活にピリオドを打つ。ステージで、テレビのバラエティー番組で見せる満面の笑みがチャームポイント。しかし、その裏には、数え切れない涙の歴史があった。

 須田はよく泣いていた。握手会で心ない言葉を掛けられた時もそう。15年の選抜総選挙、順位を落として選抜落ちした時には、記念撮影で1人だけ、泣き顔だった。その後日のインタビューでは、約1時間、泣きっぱなし。ティッシュの箱は、ほぼ空っぽになった。デビュー前のレッスンでは、楽曲のリズムが自分だけ理解できず、号泣していたという。

 反面、涙を原動力にしてはい上がってきたのも事実だった。その一つが、ファンとの握手会での交流を事細かくまとめた、通称「ダスノート」。抜群の記憶力で、ファン本人すら覚えていないことを話すこともあったという。のちに「握手会の女王」と言われるようになったのは、必然の結果だった。“スピーカー事件”も、泣きながらスピーカーにかじりつき、頭ではなく体にリズムを染みこませていたという。転んでもただでは起きない執念だ。

 根底にあるのは、元来からの負けず嫌いな性格。13年のAKB48選抜総選挙を前に、目標を聞いた。「選抜に入る…」と言いかけて、言い直した。「いや、違う。いつも目指すのは1位」。大島優子、板野友美ら、超選抜の人気メンバーがいる当時。もちろん、とんでもない目標だった。1位にこそなれなかったが、その年は16位ギリギリで自身初のAKB48選抜入り。ビッグサプライズを起こした。

 総合プロデューサーの秋元康氏は、夢を追いかけるアイドルたちによく、こう説いていた。「夢は全力で伸ばした手の1センチ先にある」。限界を越えなければ、目指すものは手に入らない。須田の手にしたい物は、1センチよりもはるかはるか先にあった。それでも、焦ることなく、コツコツと日ごろの努力を積み重ねた。中国語にギターと、時間はかかっても、それなりに形にした。ギターはソロライブを開催するほどの腕前になった。

 リーダーを務めるチームEでは、後輩たちにこう言って奮起を促した。「一人一人が“これは負けない”っていうものを探そう」。努力を怠らず、握手会でトップの人気に上り詰めた、そんな体験談から出た言葉だろう。

 アイドル人生で、目標にしていたことが2つあるという。「写真集を出したいんです。あと、映画にも出たい。アイドルのうちに、やっておきたいんです」。まだまだ人気メンバーに駆け上がる途上のこと。無謀とも思ったが、写真集は18年に発売。昨年は麻雀を題材にした映画「打姫オバカミーコ」に出演した。しかも主演という、思ってもみないおまけ付き。一昨年は「ソーユートコあるよね?」で、シングル曲では初のセンターに立った。1番になる目標も、実現してみせた。

 最近の須田は、本当に泣かなくなった(ように思える)。涙を流すような悔しさを経験することが、少なくなったあかしだろう。そして何より、2つの夢を有言実行で叶えた。30歳という年齢は、人より歩みが遅くても、着実に夢へ進んだことの裏返しでもある。夢を現実にし、“泣き虫あかりん”を返上した今が、巣立つには絶好のタイミングなのかもしれない。

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