【前回の鎌倉殿の13人】第11話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「善児 無の戦慄」

[ 2022年3月27日 08:00 ]

イラストレーターの石井道子氏が描いたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第11話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「善児 無の戦慄」
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は27日、第12話が放送される。新進気鋭のイラストレーター・石井道子氏が描く“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)とともに前回の第11話(3月20日)を振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第11話は「許されざる嘘」。源頼朝(大泉洋)の新たな御所が鎌倉に完成。坂東武者に平家の旧領を恩賞として与えるなど着々と体制が整えられ、北条義時(小栗)も慌ただしい日々を送っていた。しかし、りく(宮沢りえ)は頼朝の舅である夫・時政(坂東彌十郎)の処遇の低さに不満が募る。一方、都においては平清盛(松平健)が敵対勢力の掃討に乗り出し、その苛烈さに人々が恐れおののく。そんな中、平家討伐を焦る源義経(菅田将暉)は集った兄たちの前で…という展開。

 1181年(治承5年)冬、北条政子(小池栄子)が2度目の懐妊。阿野全成(新納慎也)によると、親が徳を積めば望みの男児が生まれるとあり、伊東祐親(浅野和之)&祐清(竹財輝之助)父子の恩赦が決まったものの、一転、全成は「生まれてくるお子のためには、まず千鶴丸様(頼朝と八重の子)が成仏しなければなりません。その功徳によって、再び男として生を受けるのです。お命を奪ったのは、伊東祐親殿と聞いております。伊東殿が生きておられる限り、千鶴丸様の成仏は難しいかと」と進言。頼朝の命令の下、祐親に仕える下人・善児(梶原善)が祐親&祐清父子に手をかけた。

 義時にとって、祐親は祖父。頼朝の家臣となった梶原景時(中村獅童)は「わしがお迎えに上がったところ、ご子息とともにご自害された」と説明。既に亡骸もない。「あの方に限って決して、そのようなことは」「おかしい!」と憤る義時は「人を許す心が、徳となるのではないのですか。それゆえ、望みのお子を授かるのでは!」「爺様はもう、帰ってはきません!」と鬼の形相になり、頼朝に猛抗議した。

 御堂の全成は「胎内のお子は、生まれても定命が短いと出ておる。千鶴丸はいまだ成仏できておらぬ。千鶴丸を殺めた者が生きている限りは…」。裏庭。景時は立ち去る善児を呼び止める。「善児、わしに仕えよ」。振り向いた善児は膝をつき「へぇ」――。頼朝の冷酷な命令に、景時の衝撃のスカウト。千鶴丸暗殺を善児に命じたのが祐親だったため“因果応報”となった。

 善児が手をかけたのは千鶴丸、工藤茂光、北条宗時、江間次郎、伊東祐親。伊東祐清の6人。“怪演”が反響を呼ぶ梶原は番組公式ツイッターに公開された「かまコメ(撮影直前・直後の音声コメント)」で「ちょっと正直言って皆目見当がつかないところはあるんですけど、本当に分からないんですよね、あの人は。ただ演じ方としては殺人鬼的な感じではなくて『まさか、この人が』というような感じで最初はやっていたんですけど、ここまで来ると、もう『まさか、この人が』という感じでもないですし、ちょっと折れ曲がった性格のところもあるでしょうし、その割には従順に主の言うことは素直に聞くし。それを何の躊躇もなくやっていること自体、何か欠落している人なんだろうなというふうに思いながら、日々やった後、『あれで正解だったのかな』と、いつも頭を傾げながら現場を後にする毎日なんです。だから正直、自分でもちょっと…『う~ん』という感じで」と語った。

 今回の“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)は善児を中心に据え、源平合戦や鎌倉幕府成立後の熾烈な権力闘争を描く今作の“ダーク大河”ぶりを表現した。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。ブランド情報発信拠点「メルセデス・ベンツ コネクション」におけるJ―WAVEによる展示パネルPOP制作、ウェブマガジン表紙などを手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。ライブペインティングや即興似顔絵も各地で行う。

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2022年3月27日のニュース