「おかえりモネ」最終回 最後はりょーちん“タイトル回収”脚本・安達奈緒子氏「全員がホッとできたら」

[ 2021年10月29日 08:15 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」最終回(第120話)。亮(永瀬廉)が最後に「おかえり、モネ」と“タイトル回収”(C)NHK
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 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は29日、最終回(第120話)が放送され、完結した。「King&Prince」の永瀬廉(22)が好演してきた漁師・亮が最後に“タイトル回収”。脚本の安達奈緒子氏に思いを聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」などやテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達氏が手掛けるオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描いた。

 最終回は、未知(蒔田彩珠)の大学合格を祝うため、東京の明日美(恒松祐里)も帰省し、幼なじみ6人が永浦家に集まる。皆が見守る中、百音(清原)は“あの日”以来、閉じたままだったサックスケースを開ける…という展開。

 サックスケースの中には、吹奏楽部卒業コンサートの手書きのチラシが入っていた。「日程 2011年3月12日(土)」「会場 亀島中学校体育館」――。

 亮「これ見るのが怖くて、ずっと開けられなかった?」

 百音「最初は、そうだったと思う。向き合うのが怖くて。あの日、島にいなかった後ろめたさとか。痛みを分かち合えない苦しさとか。でも今はあの、ちょっと違ってて。なんか、これを、これを開けたらまた、私は無力だって思っていた頃の自分に戻ってしまうんじゃないかって。それが怖かった」

 明日美「どうだった?」

 百音「戻ってたまるかって、思ったよ。もう、何もできないなんて、思わない。やっと開けられた」

 未知「おかえり」

 亮「おかえり、モネ」

 百音「うん。ただいま」

 百音、未知、亮、明日美、三生(前田航基)、悠人(高田彪我)は手をつなぎ、笑い合った。山にUFOを呼びに行った小学生の頃のように。それぞれの道を歩みながら、解き放たれ、踏み出した一歩。三生が東京・汐見湯で願ったように、これからはもう、普通に笑えるに違いない。

 “物理的”なタイトル回収は、百音が登米から初帰省した第11話(5月31日)、耕治(内野聖陽)が船上から百音を見つけ「モネ~、おかえり~!」と大声。未知と一緒に大きく手を振った。百音が地域密着型の気象予報士を目指そうと故郷に戻り、実家に着いた第97話(9月28日)、亜哉子(鈴木京香)が「ごめん、ごめん。おかえり、モネ。ごめんね。今日、カキ棚の処分代のことで、おじいちゃん揉めちゃって」。父母に続き、最後は未知と亮が“精神的”な意味で口にした。

 最終回にして、特に「綺麗事」発言により一時は百音とぎくしゃくした亮がタイトル回収したことについて、書面インタビューで尋ねると、安達氏は「タイトルに注目して見てくださったのはありがたいですし、もちろん作り手としてもタイトルには強い思い入れがあります。ですから逆に、誰が言ったか、ということで意味が限られてしまうのは、やや落ち着かないような気持ちがします。もう少し広く、亮の心身を介して幼なじみの三生や悠人や明日美、妹の未知、さらにはそこに生きる人々が、あるいは百音自身が『おかえり』と思えた、みんなが自分の思うところに還ってこられた、そんなイメージです。ですから、亮も自分自身に言っているのかもしれません。亮が代表してこの言葉を口にしてくれたことで、見てくださっている方々も含めて全員がホッとできていたらいいなと思います」。未知は東京の大学へ進学し、亮は自分の船で海へ。百音と菅波も2年半ぶりに再会を果たした。それぞれが痛みと向き合い、相手に寄り添いながら迎えた最終回。希望に満ちたフィナーレとなった。

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