バスケ女子、高田主将 押忍の心で銀!中学生で黒帯の空手少女だった 恩師が祝福

[ 2021年8月9日 05:30 ]

バスケ女子決勝の米国戦第2クオーター、シュートを放つ高田
Photo By 共同

 東京五輪銀メダルを獲得した女子バスケットボールの高田真希主将(31=デンソー)を、小中学校時代の空手の恩師が祝福した。愛知県豊橋市の空手道場「桜塾」(本部・京都市)の酒井寿和代表(55)は「頑張った。空手が生きたならうれしい」と別の道を進む教え子を称えた。

 高田は、護身術を学ばせたい両親の勧めから小4で桜塾に入門。中学卒業まで6年間、男子を相手に心身を鍛えた。酒井氏によると「長い脚を生かした上段蹴りが得意。同世代に負けたのは男子に1回だけ」。流派の全国大会は小5から4連覇。女子中学生では数少ない黒帯だった。バスケは小5から始めている。

 桜塾は極真空手の流れをくみ、防具を付けず、突きや蹴りを相手の体に当てて戦うフルコンタクト空手。顔への蹴りも、ケガによる出血も日常茶飯事だ。それでも週3回の稽古に休まず通う当時の高田を「闘志を秘め黙々とこなす子」と振り返る。

 空手が鍛えた強い心身がバスケにも生きている。まずは体幹だ。蹴る瞬間は片足立ち。バランスを意識した動きをすることで体に芯が通った。コート上で「リツ」と呼ばれる高田だが、これは「リバウンドに強い」の意味。「体の強さは空手のおかげ。ゴール下で当たるのは怖くない」と自信につなげている。

 精神面で得たものも大きい。桜塾の理念は「苦しい時に一歩前へ」。武道で我慢が語源の「押忍(おす)」の精神だ。追う展開となった米国との決勝戦は、攻守に体を張った。酒井氏は、道場で自分より大きな年上の男子に向かう少女時代と重なって見えたという。

 高校ではバスケに専念するため道場を退会したが、空手を続けていれば「間違いなく世界レベルの選手になった」と酒井氏。バスケと空手を教える“二刀流指導者”の誕生を期待する。高田は昨年4月、スポーツ教室などを行うイベント会社「TRUE HOPE」を設立し、社長に就任した。「いろいろな競技を手掛けたい」と語っており空手に力を入れる可能性はある。

 酒井氏は「空手の指導は大歓迎。ケガを克服した話も聞きたい」と成長した教え子との再会に思いをはせた。

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