大河「青天を衝け」パリ編の見どころ 草なぎ剛に徳川家康が降りて来る

[ 2021年7月14日 08:15 ]

大河ドラマ「青天を衝け」パリ編の徳川慶喜(草なぎ剛)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「青天を衝け」が今月11日の放送からパリ編に入った。時代は1867年。主人公の渋沢栄一(吉沢亮)らはパリの万国博覧会などを視察し、しばらく現地に滞在する。

 NHKは当初、パリでロケする意向だったが、コロナ禍で断念。現地のプロダクションの撮影協力を得て、当時の街並みや建造物などの場面をVFX(視覚効果)で作り上げた。

 例えば、11日の放送で、徳川昭武(板垣李光人)が宮殿でナポレオン三世に謁見(えっけん)する場面。パリで現地スタッフが撮影した建造物や人物の映像と、日本のスタジオのグリーンバックで板垣らを撮影した映像を組み合わせた。

 演出した田中健二氏は「グリーンバックで演じた板垣さんには、事前に絵コンテや当時の絵、写真を見てもらい、撮影では『ナポレオン三世の視線』の位置を棒で示したが、共演者が目の前にいないことの大変さが相当あったと思う」と話す。

 VFXは現実ではない世界をデジタルで実現させる手段。作り方は一通りではなく、例えば、渋沢栄一が万博会場のエレベーターに乗り込んだ場面は、実際にエレベーターをセットで作り、その周辺にVFXを施す方法をとった。

 「そのようなセットのシーンを合間に入れることで、リアリティーが向上する。役者が自由に芝居をしてこそ、ナチュラルさが生まれる」と田中氏は指摘する。

 技術がいくら進歩しても、やはり大切なのは俳優の演技。パリ編の見どころの一つになるのが、徳川慶喜(草なぎ剛)の大政奉還の場面だ。時代は同じ1867年。。慶喜は京都で、政権を帝に返上することを宣言する。

 田中氏は「これまでの幕末ものとはひと味違う。慶喜がどのような筋道で大政奉還に至るか、その気持ちが分かるように演じてもらった。大政奉還を宣言する場面には慶喜が徳川家康に言及する部分がある。草なぎさんには『そこに思いをはせてほしい』とお願いした」と明かす。

 撮影後、田中氏が草なぎに「感動した」と伝えると、草なぎは「なんか、言っているうちに家康様が降りて来ちゃって…」と話したという。

 「大政奉還の難しい宣言の中で、慶喜の気持ちを出してくれた。それは家康とリンクしたからこそだと思う。草なぎ剛は凄い!と思った」と田中氏は手応えを強調した。

 大政奉還に対し、北大路欣也が演じる家康がどんなリアクションを示すかも見どころになる。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。  

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