歌唄い・二宮愛(上) クイーンもビートルズもカバー 「世の中に名曲があふれてる」

[ 2021年5月11日 10:00 ]

YouTubeチャンネルで歌う二宮愛
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】人生の中で、誰かの歌に心を動かされることはある。でも、驚きを伴う感動は、そう何度も経験できない。先日、何げなくYouTubeを見ていたら、その希少性に出くわした。歌っているのはシンガー・ソングライターの二宮愛(31)。曲はクイーン「ボヘミアン・ラプソディ」だ。

 「ボヘミアン・ラプソディ」は5つのパートで構成されている。冒頭の「アカペラコーラス」から「バラード」に移行し、「オペラコーラス」をはさんで「ハードロック」で盛り上がり、「アウトロ・バラード」で終幕する。この曲をそのままライブで披露するのは困難で、往年のクイーンは冒頭のアカペラコーラスの部分を省き、中間のオペラコーラスの部分は既存の音源を流していた。

 フレディ・マーキュリーがステージで歌わなかった部分をどうするのか?古くからロックを聴いてきた人間にとって、とても興味深いことだ。彼女はアカペラコーラスの部分から1人で歌い始め、バラードを経てオペラコーラスの部分も1人で歌い続け、ハードロックを熱唱し、アウトロ・バラードまで歌い切った。

 ただ歌い切っただけではない。巧みなだけでもなかった。そこに心地よい熱さがあり、たぐいまれな独自性があった。「ボヘミアン・ラプソディ」をカバーしたと言うより、「二宮愛のボヘミアン・ラプソディ」を歌ったと言う方が良いかもしれない。

 近く開幕するミュージカル「レ・ミゼラブル」の稽古に励む彼女にリモート取材の時間をもらった。

 「私は新参者としてYouTubeに入ったので、みんなが歌わないようなジャンルをカバーしたいと思いました。クイーンやビートルズは親の影響で幼少期から聞いていましたが、『ボヘミアン・ラプソディ』はカバーするのに最も頭を悩ませた曲の1つです。和音で成り立っていてるオペラの部分をコーラスを入れずに私1人の声で成り立たせなくちゃいけない。和音の中のどの音を歌ったら良いか自分で考えて、それから練習しました。曲を決めるのはいつも1週間前ですが、あの曲は歌うギリギリまで、これでいいのか?と考えていました。とても大変でした」

 YouTubeチャンネルを始めたのは昨年6月。コロナ禍で、予定していたアルバム発売、それに伴うツアーがキャンセルになったことがきっかけだったという。

 これまでに古今東西の計100曲をカバー。洋楽ではエルヴィス・プレスリー「好きにならずにいられない」やマイケル・ジャクソン「スリラー」、ビリー・アイリッシュ「オーシャン・アイズ」などなど。邦楽では荒井由実「ひこうき雲」や桑田佳祐「白い恋人達」、LiSA「炎」などなど。昨年、テレビ東京「THEカラオケ☆バトル」でAI採点史上最高得点(99.578点)を獲得した曲のaiko「カブトムシ」も情緒たっぷりに歌い直している。

 週に2曲ずつ更新。ライブの生配信もこれまでに8回。ミュージカルの稽古も続く中で大変な作業に違いない。

 「単純に、自分が歌いたいんです。本当に歌うのが好き。世の中には素晴らしい曲があふれている。100曲歌っても、まだまだ名曲があふれている。見ていただいている方からのリクエストも増えていて、曲を決めるのが大変で、週に2曲では足りないくらいです」

 10日に生配信したライブはオアシス「ワンダーウォール」でスタートしたが、その後はビートルズ特集。「ザ・ロング・アンド・ワイディング・ロード」「イエスタデイ」「エリナー・リグビー」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」と王道の選曲。この5曲を作ったポール・マッカートニーとバンドの魅力を、自らの解釈と感性を交えて今の世界に伝えた。

 令和にきらめく「歌唄い」。名曲カバーの日々が続く。(つづく)

 ◇二宮 愛(にのみや・あい) 1990年(平2)2月2日生まれ、神奈川県出身の31歳。2012年、ボーカルを務める「matthews」が初アルバム「Girls Like Dream」を発売。14年、TBS「UTAGE!」に出演し、その歌唱力が話題に。15年、初のカバーアルバム「From The Kitchen Corner」を発売。17年、ミュージカル「レ・ミゼラブル」でファンテーヌ役に。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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