プロレスラー・上谷沙弥 「シンデレラストーリーを築き上げたい」

[ 2021年4月22日 10:00 ]

リング上でプロレスラーとして強い光を放つ上谷沙弥(C)スターダム
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】アイドルからプロレスラーに転身した上谷沙弥(24)がその輝きを増している。

 3月3日に東京・日本武道館で、所属団体「STARDOM(スターダム)」の頂点「ワールド・オブ・スターダム選手権(赤いベルト)」に初挑戦。結果的に王者の林下詩美(22)に敗れたものの、果敢に攻め込み、得意の空中殺法を縦横無尽に繰り出すなどしてファンや関係者から高い評価を受けた。

 上谷は「挑戦が決まって、SNSなどでは批判が95%くらいだったので、全部ひっくり返してやろうという強い気持ちで臨みました。日本武道館はアイドルとして立ちたかった場所で、実際にその場に立ってみると、夢なのか現実なのか?という感じもありました。結果的には負けてしまったけれど、試合は自分の流れに持って行かれたし、全て出し切れたので、自信につながりました」と振り返る。

 プロレスラーは勝敗だけで評価されるわけではない。試合中の動きや表情、しぐさなどで観客の心をいかに揺さぶるかが重要だ。その点で、リング上の上谷沙弥は秀逸。あの日は試合内容だけではなく、敗戦直後、倒れた状態のまま静かに涙を流す姿もファンの胸を打ったに違いない。

 「負けた悔しさもあったけれど、やり終えたという解放感、今できることを全てやり切れたという達成感、詩美さんと戦えたといううれしさ…。いろんな気持ちがこみ上げてきて、涙が止まりませんでした。挑戦表明してから約1カ月間、本当にプレッシャーに押しつぶされそうになったことが何回もありました。試合をしてみて、詩美さんの壁は厚いとは思ったけれど、一方で自分自身はまだまだできるとも思いました。まだキャリアが浅いので、もっと、いろいろな経験を積みたいと思いました」

 4月10日には東京・後楽園ホールで、団体恒例の「シンデレラ・トーナメント」に参加。1回戦で、「ワンダー・オブ・スターダム選手権(白いベルト)」王者の中野たむ(33)と対戦し、オーバー・ザ・トップロープで勝利した。カウンターのフランケンシュタイナーで中野を場外へ放り出した場面は鮮烈だったが、その前にエプロンで中野のジャーマンスープレックスを食らった場面の衝撃度も高かった。

 「エプロンはめちゃくちゃ硬いんです。あの後、数日間、首が右に動かなかったんです。あそこで、ジャーマンスープレックスをやるたむさんはぶっ飛んでる。でも、周りから見れば、あそこでフランケンシュタイナーをやる私もぶっ飛んでるんでしょうね」

 今や、リング上では、かつてアイドルの道を歩んだ女性のかれんな雰囲気はどこにもない。力強く、激しく、危険な香りが漂い、完全にプロレスラーのたたずまいだ。スターダム入団後も所属し続けていた芸能事務所も3月末に辞めた。

 「辞めることで、自分にはプロレスしかないというプレッシャーをかけられると思いました。スターダムでもっと上に行かなくちゃいけない。どんどんプロレスが好きになってます。プロレスを初めて見た瞬間にビビビッと来たけれど、その感覚は間違ってなかった。アイドル時代は周りと比べてネガティブな気持ちになることが多かったけれど、今は自分を好きになれる瞬間がたくさんあります」

 4月30日には後楽園ホールで、シンデレラ・トーナメントの2回戦から決勝戦までが行われる。2回戦の相手は覆面レスラーのスターライト・キッドだ。

 「要注意人物です。ハイスピードの選手で、丸め込みを狙われる可能性もあるし、オーバー・ザ・トップロープで落とされる可能性もある。でも、自分の方が上だという部分を見せつけて勝ちたい。決勝戦まで進めたら、相手にもよるけれど、トリッキーで、みんなが驚く技を仕掛けていって、その上で優勝したい。このトーナメントをきっかけにシンデレラストーリーを築き上げていきたいです」

 デビューから2年足らずだが、その歩みは着実で、躍動感いっぱい。目指す頂点に上り詰める日もそう遠くないだろう。

 ◇上谷 沙弥(かみたに・さや)1996年(平8)11月28日生まれ、神奈川県出身の24歳。2014年、バイトAKBのメンバーに。16年、芸能事務所のワークショップオーディションに参加。18年、スターダム★アイドルズに加入。19年、スターダムのプロテストに合格。身長1メートル67、体重55キロ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

続きを表示

「美脚」特集記事

「嵐」特集記事

2021年4月22日のニュース