NEWS加藤シゲアキ 直木賞逃すも「オルタネート」映像化熱望の声続々

[ 2021年1月21日 05:31 ]

自身6作目の著書「オルタネート」で惜しくも直木賞受賞を逃したNEWSの加藤シゲアキ
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 第164回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」(「文芸」秋季号)、直木賞は西條奈加さん(56)の「心淋(うらさび)し川」(集英社)に決まった。直木賞で「オルタネート」が初めて候補作となったアイドルグループ「NEWS」の加藤シゲアキ(33)は受賞を逃した。ただ、作品へ注目が集まっており、映像化の動きも出てきている。

 受賞とはならなかったが、候補作となったこと自体がアイドルでは初めてという大きな快挙。その「オルタネート」について「物語の情景がすぐにでも浮かんでくる作品」として、映像化を望む声が映画会社関係者らの間で上がっている。

 架空の高校生限定マッチングアプリ「オルタネート」が普及した時代の青春群像劇で、東京のとある高校が舞台。映画会社の企画担当者は「加藤さんの小説は自身が俳優業をやっているからこそ、人物の描き方が生き生きしている。実写化に動いてみたい」と話した。大手の映像配信サービスの担当者も「舞台が現代で登場人物も高校生が中心と、若者に見てもらえる作品。配信ドラマに適している」と話した。映像化権を巡って争奪戦が繰り広げられそうだ。

 「オルタネート」は6作目の小説。文芸界では加藤の作品の特徴は「物語の緩急の付け方がうまく、文体もテンポが良くて読みやすく、読者が映像として捉えやすい」と評価されている。12年のデビュー作「ピンクとグレー」はHey!Say!JUMPの中島裕翔(27)主演で映画化され、韓国で開かれた第20回釜山国際映画祭・アジア映画の窓部門へ正式出品されるなど、映像化作品も一定の評価を受けている。短編集「傘をもたない蟻たちは」に収録された「染色」は今年、関西ジャニーズJr.「Aぇ!group」の正門良規(24)主演での舞台化も決定している。

 現在はドラマ、映画ともに小説や漫画を原作とした作品が多く、「人気作品には次から次へと出版社にオファーが届く」(漫画編集者)という時代。ドラマ関係者も「面白い小説は制作者の多くが映像化したいと思うので争奪戦が起きやすい。世間の注目を集める作品ならばなおさら」と話しており、オルタネートの映像化は現実味を帯びている。

 【あらすじ】高校生限定の架空マッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代で、東京のとある高校を舞台に高校生たちの恋愛や葛藤を描く青春群像劇。人とつながるとは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに待ち受ける未来とは――。

 【17年にはセカオワ・藤崎彩織もノミネート】 過去にタレント(受賞当時)として直木賞を受賞しているのは、1967年「火垂るの墓」「アメリカひじき」の野坂昭如さん、81年「人間万事塞翁が丙午」の青島幸男さんら。また、作詞家のなかにし礼さんが2回目のノミネートとなった99年「長崎ぶらぶら節」で受賞した。最近では2017年にバンド「SEKAI NO OWARI」のピアノ担当の藤崎彩織(34)が「ふたご」でノミネートされたが受賞は逃した。

 ◆加藤 シゲアキ(かとう・しげあき、本名・加藤成亮=しげあき)1987年(昭62)7月11日生まれ、大阪府出身の33歳。99年にジャニーズ事務所に入所。03年にNEWSのメンバーとしてデビュー。10年3月に青山学院大学法学部を卒業し、12年1月に「ピンクとグレー」で作家デビュー。来月6日スタートのNHK総合「六畳間のピアノマン」(土曜後9・00)で第1話の主演を務める。血液型A。

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