加藤シゲアキ ジャニーズ初の直木賞ノミネート 6作目「オルタネート」で、来年1・20選考会

[ 2020年12月18日 05:00 ]

直木賞にノミネートされ著書「オルタネート」を手に笑顔を見せる加藤シゲアキ(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 ジャニーズ事務所に所属するアイドルグループ「NEWS」の加藤シゲアキ(33)の小説「オルタネート」が第164回直木賞(日本文学振興会主催)の候補作に選出された。ジャニーズタレントの作品が同賞にノミネートされるのは初めて。17日に都内で取材に応じた加藤は「驚愕(きょうがく)です」と心境を語った。

 1作目発表から8年、自身6作目の小説での直木賞ノミネート。加藤は「作家にとって憧れの賞。びっくりしている」と笑顔で語った。

 芥川賞とともに1935年に創設された直木賞は、文学賞で最も長い歴史を誇り権威がある。これまで女優やミュージシャンらの作品が候補になったことはあるが、アイドルの作品がノミネートされるのは初めて。2012年の1作目「ピンクとグレー」以来、二足のわらじで活動してきた加藤は「自分はタレントだから本を出すのは引け目があった」と吐露。それだけに、今回のノミネートに対して「候補にしてもらって、少しは認めていただけたのかな」と喜んだ。

 ノミネートの知らせを受けたのは、11月末に新型コロナウイルスに感染して休養していた時。「気落ちしてしまっていた」中での突然の朗報に「“高低差ありすぎて耳がキーンとするわ”という心境でした」とお笑いコンビ・フットボールアワーの後藤輝基(46)のツッコミを用いて当時の思いを表現した。

 候補作は架空のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代を舞台に、高校生の恋愛や葛藤を描く青春群像劇。現代の若者に身近な「アプリ」を舞台にみずみずしく青春を描き、高い評価を得ていた。

 直木賞受賞への思いを聞かれると「ここまで来ることができただけでも十分」と控えめな反応。来年1月20日の選考会までは「あまり(賞のことを)考えないようにしたい」と笑った。

 メンバーの小山慶一郎(36)と増田貴久(34)には16日にマネジャーを通して伝えた。増田は「僕は本を読まないけど、凄いこと」、小山は「凄いね」とかみしめるように喜んでくれたという。

 NEWSは6月に手越祐也(33)がジャニーズ事務所を退所し「解散する選択もあった」(加藤)という危機に直面した。その後も元メンバー山下智久(35)の退所や、小山と加藤の新型コロナ感染によるライブの中止もあった。その中での今回の朗報。紆余(うよ)曲折の一年を経たグループに、最高の喜びをもたらした。

 ▽直木賞 大衆作家として昭和初期に活躍した直木三十五の業績を称えるため。新進、中堅作家によるエンターテインメント作品(短編集および長編)の単行本から選ぶ。人気作家の東野圭吾氏は05年「容疑者Xの献身」で受賞。6回目の挑戦にして悲願がかなった。芥川賞とともに年2回発表される。

 ▽芥川賞 大正時代を代表する小説家・芥川龍之介の業績を称えるため創設。新進作家による純文学を対象とし、雑誌に発表された中・短編作品から選ばれる。小説家の新人賞としては最も権威がある。15年には又吉直樹が「火花」で受賞。芸人として初めての快挙を達成した。

 ≪水嶋ヒロら話題集めた芸能人文学≫芸能人の執筆作はこれまでも関心を集めてきた。俳優の水嶋ヒロ(36)はデビュー小説「KAGEROU」でポプラ社小説大賞を受賞。タレントの島田洋七(70)の「佐賀のがばいばあちゃん」はシリーズ総計550万部の大ベストセラーとなった。「麒麟」の田村裕(41)の「ホームレス中学生」、劇団ひとり(43)の「陰日向に咲く」は映画化もされた。

 ◆加藤 シゲアキ(かとう・しげあき、本名・加藤成亮=しげあき)1987年(昭62)7月11日生まれ、大阪府出身の33歳。99年にジャニーズ事務所に入所。03年にNEWSのメンバーとしてデビュー。10年3月に青山学院大学法学部を卒業し、12年1月に「ピンクとグレー」で作家デビュー。来年日本テレビで放送予定の「二月の勝者―絶対合格の教室―」に出演予定。血液型A。

続きを表示

この記事のフォト

2020年12月18日のニュース