次期朝ドラ「おちょやん」ヒロイン・杉咲花 「チャレンジを続けられる現場」

[ 2020年11月27日 13:00 ]

NHK連続テレビ小説「おちょやん」でヒロインの千代を演じる杉咲花(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】30日にスタートするNHK連続テレビ小説「おちょやん」に主演する女優の杉咲花(23)がインタビューに応じた。

 神妙な面持ちで「撮影していると緊張します。大事なシーンの時には特に力が入ります。緊張してなかったら、もっとできたのに…と反省することもあります」と本音。その上で「朝ドラは長く続き、私が演じている千代もどんどん年を重ねていきます。だからこそ、チャレンジを続けることができる現場だと思います。なるべく緊張を取り除いていかれればいいと思っています」と前向きな笑顔を見せた。

 朝ドラは「とと姉ちゃん」(2016年)でヒロイン(高畑充希)の妹を演じて以来。7月にNHK大阪のスタジオでクランクインし、初めての朝ドラヒロインの重責を担っている。

 「おちょやん」は昭和の激動の時代に女優として活躍し、「大阪のお母さん」と呼ばれるようになる女性の物語。NHKラジオドラマ「お父さんはお人好し」(1954年~65年)をはじめ、黒澤明監督の映画「蜘蛛巣城」(57年)や小津安二郎監督の映画「彼岸花」(58年)などに出演した女優の浪花千栄子さんをモデルにしている。

 千代は当初、喜劇女優として活動。演じるに当たって自身にもコメディエンヌの資質が求められる。

 「出演が決まってから、何回かNHKのスタッフさんと一緒に喜劇を見に行きました。お客さんに楽しんでもらうため一生懸命向き合っている姿に鳥肌が止まりませんでした」と述懐。自ら喜劇を演じることについて「笑ってもらうのは難しいし、怖いです。自分に負けるな!という気持ちで演じてますが、怖くて足や手が震えたこともあります。喜劇に対するリスペクトが強まっています」と胸の内を明かす。

 お笑いタレント・星田英利(49)のような、笑いの本職も共演者のひとり。喜劇のシーンではアドリブのセリフを求められることもある。

 「自分なりに頑張ってアドリブを言ってみたりします。たまにシーンとすることがあってすごく落ち込みます」と苦笑い。撮影開始から4カ月以上が経過して「メンタルが強くなってきていると思います。アドリブの力が上がったかどうかは分からないですけど、これだけ長い時間、1人の役をずっと演じてきているので、その時に千代として感じるということはちゃんとできていると思います」と手応えを語る。

 セリフは大阪ことば。昨年11月から毎週、大阪に通って方言指導者のもと、稽古を重ねてきた。

 「今まで方言を使う役を演じる機会がなかったので、しゃべること自体が楽しい」と笑顔。幼少期の千代を演じる子役の毎田暖乃(9)は大阪出身で「巻き舌がうまくて迫力があります。巻き舌は難しいですけど、私も引き継げたら」と話す。

 半年以上にわたって続く撮影。しかも住み慣れた東京から離れて大阪に滞在しており、ライフスタイルの変化は避けられない。

 「毎回、着物での撮影なので、現場には前開きの服を着て行きます。オシャレをすることがなくなってます」と告白。ヒロインを演じていく上で大切にしていることについては「常に新鮮な気持ちでいること。早い段階から台本を読んで、何回も練習していると、撮り終えたような気分になってしまう。毎回、撮影では新鮮な心を保つように心掛けています」と話す。

 インタビューで質問のひとつひとつにていねいに答える姿には、女優としての成長もうかがえる。

 「成長しているかどうかは、まだ実感はないですけど…。恥ずかしさや緊張がクランクインの時よりは減ってきたと思います。思い切りやるぞ!という気持ちです」と瞳を輝かせた。

 間もなく放送開始。視聴者に笑いと涙、感動を届ける重責を果たしていく。

 ◇杉咲 花(すぎさき・はな)1997年(平9)10月2日生まれ、東京都出身の23歳。2016年、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞などを受賞。18年、TBS「花のち晴れ~花男 Next Season」で連ドラ初主演。昨年、NHK「いだてん~東京オリムピック噺~」で大河ドラマ初出演。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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