無敗の3冠馬、コントレイル 矢作調教師の夢をかなえた 「いつかスターホースを…」

[ 2020年11月6日 11:00 ]

無敗の3冠馬・コントレイルを育てた矢作芳人調教師が「バース・デイ」に出演する(C)TBS
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 10月25日に菊花賞を制しディープインパクト以来、15年ぶりの無敗3冠を達成したコントレイル。その最強馬を育てあげた矢作厩舎の矢作芳人調教師(59)が7日放送のTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)に出演。快挙達成へ、夢の実現へ、負けられない戦いに挑んだ姿に密着した。

 滋賀県・栗東トレーニングセンター。90もの厩舎が並ぶ、関西エリアの競馬の拠点にひときわ注目を集める矢作厩舎。注目の的は無敗の3冠を目指すコントレイルだ。矢作師は「自分は自分の仕事をゲートが開くまで、しっかりと全うするだけ」と落ち着いていた。馬の体調に目を光らせ、レースまでの練習メニューを組み立てる。また、スタッフへの気遣いも忘れない。コントレイルを担当するのは矢作厩舎の中でも一番若いスタッフの金羅隆助手(36)。金羅助手は「ここまでの馬をやるのは初めてなんで、でも、負けられない状況になっているんで、そういうプレッシャーはあります」と、日に日に増す、3冠への重圧で押し潰されそうだった。矢作師は「あいつが一番大変。俺なんかのプレッシャーを超えているもんがあるんじゃないか。まぁ、それをみんなでほぐしてあげて、みんなで楽しく仕事をさせられるようにするのは俺の仕事」と気遣った。

 無敗の3冠へ世間の期待が高まる中、矢作師は「何があっても運命。別に動じない。無事にだけいってくれれば、それでいい」と自信あり気に語る。その確かな自信は圧倒的な実績に支えられている。矢作師は05年、44歳の時に矢作厩舎を開いた。そして、わずか6年でGⅠ馬を11頭も輩出し競馬界に旋風を起こした。それでも現状には満足していなかった。それは「スターホースを育てたい」という長年の夢がかなっていなかったからだ。だが、ついにその夢をかなえてくれる最高の馬、コントレイルと出会った。確信を得たのは、19年11月のデビュー2戦目。そこでJRA2歳レコードを記録する圧巻の走りに「震えがきました。これだけの馬に巡り合ったことがないかもしれない」と語る。

 その後、コントレイルは皐月賞、日本ダービーを制覇し2冠。そして、矢作師の夢がかなう瞬間が訪れる。単勝は1.1倍、ダントツの1番人気で迎えた菊花賞。勝てば15年ぶりに無敗の3冠馬誕生。コントレイルをスタンドで見守る矢作師にも、緊張感が漂った。レース中盤、コントレイルは中段の位置。そして最後の直線へ。ラスト400メートルの壮絶な叩き合いを見事に制した。「スターホースを育てたい」調教師になると決めてから足掛け41年。矢作師は「こんなうれしいことはない。一生で一番うれしいかもしれない」と興奮気味に話した。競馬界に革命を起こした黄金コンビのさらなる活躍に期待したい。

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2020年11月6日のニュース