藤井2冠「負けの局面」覚悟も逆転2連勝 王将戦挑戦者決定リーグ最終戦で残留目指す

[ 2020年11月2日 21:17 ]

初手を指す広瀬章人八段(左)。中継カメラが音もなく見守る(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負で渡辺明王将(36)の対戦者を決める挑戦者決定リーグは2日、東京都渋谷区の将棋会館で2局が指され、藤井聡太2冠(18)=王位と棋聖=が広瀬章人八段(33)を122手で破り、2勝3敗とした。

 藤井2冠は残り1局に勝っても王将戦挑戦権はないが、リーグ残留に向けて希望をつなぐ白星となった。広瀬八段は1勝3敗となり、挑戦権獲得の可能性がなくなった。

 広瀬八段とは前期の王将戦挑戦者決定リーグ最終局以来約1年ぶりの対局。その時は、藤井が勝てばタイトル挑戦最年少記録となるところだったが、1分将棋の中で最後は選択ミスをし、126手で敗れ広瀬が挑戦権を獲得した苦い思い出がある。

 「以前の対局については特に意識しなかったが、強い相手なのでこちらがしっかり成長して臨まないといけないなと思っていた」と語ったが、この日も、中盤までは互角。徐々に優勢としたが、広瀬にリードを許す展開に転換。104手目の7一歩と打った時には「最後の方は負けの局面もあったのかなと思う。先手から決め手があってもおかしくないのかなという気はしていた」というほどだった。だが、その後広瀬が8九銀と、守りの手を打つと藤井の反撃が開始。「(110手目の)6八金から(112手目の)7八桂成という手を発見して角が使える形になったので好転したのかなと思った」と語った。

 最終局は20日。木村一基九段(47)と対戦する。勝てばリーグ残留の可能性が高いが「最終局も盤上に集中して指したいと思います」と誓っていた。

 ▼藤井2冠 定跡に近い進行だったが、一筋の付き捨てが入っているのが珍しい形だった。ずっと難しいのかなと思っていなと思って指していたが、最後の方は負けの局面もあったのかなと思う。(104手目)△7一歩と打った局面は先手から決め手があってもおかしくないのかなという気はしていた。(苦境から抜け出したのは)△6八金から△7八桂成という手を発見して角が使える形になったので好転したのかなと思った。(昨年の1年ぶりの対局)以前の対局については特に意識しなかったが、強い相手なのでこちらがしっかり成長して臨まないといけないなと思っていた。(残り1局に向けて)最終局も盤上に集中して指したいと思います。

 ▼広瀬八段 基本的には自信がなかったが「勝負勝負」と迫っているうちにチャンスが来たのかなと思った。藤井さんが1分将棋になったあたりは逆にこちらが勝ち筋になっていてもおかしくないかなと思っていたが、変な手(▲8九銀)を指してしまってそこだけ残念だった。(残り2戦)この成績でも順位が良いので引き続き残留を目指して頑張りたいと思う。

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