藤井七段 令和1勝 王将戦初2次予選に王手

[ 2019年5月10日 05:30 ]

大阪王将杯王将戦の1次予選準決勝で北浜健介八段と対戦、令和初勝利を飾った藤井聡太七段
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 将棋の最年少棋士、藤井聡太七段(16)が9日、大阪市内の関西将棋会館で指された大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社など主催)の1次予選準決勝で北浜健介八段(43)に96手で勝った。この日は藤井にとって令和になって初の公式対局。新元号初戦を白星で飾り、初の2次予選進出に王手をかけた。

 昼食の“勝負メシ”には和牛プレミアムハンバーグ弁当をオーダー。スタミナは十分で、盤上では振り駒で不利とされる後手になろうと、相手が十八番の戦型を繰り出そうと関係ないといわんばかりの完勝劇。終局後には「いいスタートを切れた」とホッとした表情。“新時代の担い手”として注目され続けるだけに重圧を感じていたのか、白星を挙げて安どしているようだった。

 改元の日を含むゴールデンウイーク(GW)を挟んで実に15日ぶりの対局だった。普段から高校生との二足のわらじ生活で、それでなくとも疲れがたまる身。「少しはリフレッシュできたのでは?」の質問も飛んだが「いつもより時間が取れるので普段より将棋に取り組めた」と返答。GWは休養より研鑽(けんさん)に充てたというから恐れ入る。

 平成の時代に30年にわたって常に第一線で活躍した羽生善治九段の後を継ぎ、令和の将棋界を引っ張る若手の筆頭。タイトルこそまだ手が届いていないが、朝日杯将棋オープン連覇など実力はすでにトップ棋士に肉薄。本人にもその意識はあるもよう。「令和はどうありたいか?」の質問に「羽生先生のようには難しいですが…」と断りながらも「自分もこれから実力を付けて、新しい時代に長く活躍したい」と言い切った。

 2年前の1次予選決勝では菅井竜也七段(27)に完敗。強豪が待つ2次予選の舞台へ、あと一歩と近づいた。

 《8人が2次予選へ》1藤井は1次予選決勝で千田翔太七段―佐々木大地五段(対局日未発表)の勝者と対戦し、勝てば自身初の2次予選に進む。1次予選突破者7人にタイトル保持者や前期順位戦A級棋士ら11人が合流し、6人ずつ3つの組に分かれて再びトーナメントを戦う。シード権のない1次予選勝者は3勝すれば、7人総当たりで争う挑戦者決定リーグに進出。勝者が挑戦者となり来年1~3月に渡辺明王将との7番勝負に臨む。

 《気になる名人戦》現在、行われている佐藤天彦名人、挑戦者・豊島将之2冠による名人戦7番勝負の話題に目を輝かせた藤井。自身の対局を控えた前夜の第3局も深夜までチェックしていたようで「激戦でした。第4局以降も注目しています」と話した。自身が谷川浩司九段が持つ最年少名人記録(21歳2カ月)を更新するには、順位戦で毎年昇級を続けることが最低条件。所属するC級1組の対局(6月以降)にも注目が集まる。

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2019年5月10日のニュース