藤井七段 令和は「もっと強くなる」 森内九段と激闘92手 新年度白星スタート

[ 2019年4月13日 05:30 ]

第69期大阪王将杯王将戦 1次予選4組準々決勝 ( 2019年4月12日 )

第69期王将戦1次予選4組の準々決勝で森内俊之九段(左)を破り、感想戦で対局を振り返る藤井聡太七段
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 将棋の最年少棋士、藤井聡太七段(16)が12日、東京都渋谷区の将棋会館で指された第69期大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の1次予選4組準々決勝で、永世名人の資格を持つ森内俊之九段(48)を92手で破り、新年度初戦を勝利で飾った。

 昨年度を歴代3位の高勝率0・849で走り抜け、高校2年に進級して新たな気持ちで臨む一年。藤井は「白星でスタートできてよかった。今年度も成長できる年にしたい」と前向きに捉えた。16年10月の中学2年でのプロ入りから、年度初戦はこれで4戦全勝。数々の快挙を打ち立てたこれまでに続き、念願のタイトル初挑戦を予感させる1勝だ。

 森内は王将1期を含め、タイトル獲得通算12期の実績を誇るトップ棋士。藤井は17年9月に早指し棋戦のNHK杯で勝利したが、特別対局室で指された持ち時間3時間のタイトル戦予選は空気が変わり、矢倉模様のじっくりした展開になった。ともに中盤までに時間をほぼ使い切り、終盤は互いに飛車を敵陣に打ち込む攻め合いに。藤井は「誤算があり、負けの変化があってもおかしくない。最後まで分からなかった」と激闘を振り返った。

 つかの間の春休み中に、新元号「令和」が発表された。「元号が変わるのは自分にとって初めてで、感慨がある。新しい時代にもっと強くなり、活躍できるよう頑張りたい」。次世代の将棋界を担う自覚も、徐々に芽生え始めている。

 8大タイトル中、今年度中に獲得の可能性を残すのは4タイトル。その一つ、王将戦で初の1次予選突破まであと2勝とした。2次予選そして挑戦者決定リーグと、渡辺明王将(34)への挑戦権を得るまでの長い道のりを一歩進んだ。

 《森内雪辱ならず》森内は「序盤から意表を突かれる手が多く、構想の立て方が難しかった」と振り返った。17年度NHK杯での初対局は注目度の高さから、異例の生中継で放送。前回と同じく先手番から角道を止める得意の形に誘導したものの、雪辱はならなかった。「岐路の場面で予想にない手が出てきた。それが後から効果を発揮して、いつの間にかペースを握られていた」と藤井の力を認めていた。

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