決して泣かない“男前のよっすぃ〜”が…らしくない吉澤容疑者の姿

[ 2018年9月12日 09:10 ]

9月6日、移送される吉澤ひとみ容疑者
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 まさか、あの人が――。一報を聞いた時は耳を疑った。吉澤ひとみ容疑者の逮捕。ひき逃げ、酒気帯び運転、信号無視と、次々明らかになる問題行動は、長年、事務所担当として取材してきた“男前のよっすぃ〜”像とはかけ離れすぎていた。

 最もじっくりと言葉を交わしたのは15年3月、横浜市のグラウンド。吉澤容疑者が長年キャプテンを務めていた女子フットサルチーム「ガッタス・ブリリャンチス・H.P.」のラストマッチだった。

 予定の2試合を消化した後、取材に応じた吉澤容疑者。淡々とした口調は頑固親父のようだった。だからといって、愛想が悪いわけではなく、記者の質問1つ1つにじっくりと考え、ハキハキとした口調で、こちらの目を正面から見据えて答えた。その目力の強さが印象的だった。

 現場には「泣かせたがり」で知られた他紙の番記者もいた。卒業公演など「涙」の似合う原稿になりそうな現場で、タレントがちょっと目を潤ませれば「泣いたでしょ!」と声を上げ、合同取材の機会があれば、涙を誘う質問でたたみかける。

 吉澤容疑者にとってフットサルは、忙しい時にも時間を割いて打ち込んできた大切なものだった。それだけにこの日も何とか涙を誘おうと「11年で一番つらかったことは?」とか「寂しい気持ちでしょう?」などの問い掛けが続いた。しんみりした空気が流れたが、吉澤容疑者が泣くことはなかった。「自分がつらかったことは特にない。メンバーには無理を言ったこともたくさんあり、しんどかったと思う」とか「寂しさはない。女子サッカーが普及してよかった」と、主に自分以外のことを話し、一切感傷的な表情を見せなかった。

 時間ギリギリまで取材に応じたが、最後まで涙はなし。所属事務所の関係者は「あれが吉澤ですよ。泣いたの見たことないですもん」と話した。その後の取材でも主役というより場をまとめる役回りをさらりとこなす姿が“男前”に映っていた。

 逮捕当日、身柄を移送された吉澤容疑者の目は、泣きはらしたようになっていた。まったく泣かないはずだった、その涙はどんな感情のもとに流したものなのか。現状、供述の内容には疑問点も残り「保身のための虚偽では」との見方もある。自分のことより他人のこと。取材での吉澤容疑者はそういう人だった。もちろん今後も捜査の行方は慎重に、客観的に取材していくが、自分かわいさで動くなどという、らしくない姿を見せていないと信じたい。(記者コラム)

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2018年9月12日のニュース