「グッド・ドクター」「透明なゆりかご」…“社会派医療ドラマ”に注目が集まった夏ドラマ

[ 2018年9月12日 18:10 ]

「グッド・ドクター」に出演の(左から)上野樹里、山崎賢人、藤木直人
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 夏ドラマが続々と最終回を迎えているが、中でも今期注目だったのが「グッド・ドクター」(フジテレビ、木曜午後10時、13日最終回)や、「透明なゆりかご」(NHK総合、金曜午後10時)など、心に響く “社会派医療ドラマ”だろう。

 昨年放送されたテレビドラマで最も高い視聴率を獲得した米倉涼子主演「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」(テレビ朝日)や、今年4月期に放送された二宮和也主演「ブラックペアン」(TBS)など、これまでヒットしてきた医療ドラマの多くは濃いキャラクターのスーパードクター系がほとんどだった。だが今期に放送された2つの医療ドラマは、医者や患者たちの“人間ドラマ”を重視した社会派な側面の強かった。

 13日に最終回を迎える山崎賢人主演の「グッド・ドクター」は、小児外科医の世界を舞台に、自閉症スペクトラム障がい(対人関係や言語の発達に偏りがある者)によりコミュニケーション能力に問題を抱える一方、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群(特定の分野で優れた能力を発揮する者で、知的障がいや発達障がいを有することが多い)の青年・新堂湊の成長を描くドラマ。学術書などで読んだ症例や術式をすべて暗記しているという主人公で、スーパードクター系に傾いてもおかしくないキャラクターなのだが、あくまでもスポットが当てられるのは“心の治療”。主人公のピュアでひたむきな行動によって患者やその家族、そして同僚たちの心情の変化を丁寧に追っていくのがこのドラマの特徴となっている。

 テレビの視聴状況を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(エイト社、東京 調査対象960人)に寄せられた視聴者の感想によると、「とても心に優しく響くドラマです」(73歳女性)、「色々考えさせる。現実なら自分はこの先生をどう受け止めるか」(61歳女性)など、心に深く届く内容となっており、「医療ドラマが苦手な私でも楽しく視聴しています」(13歳女性)など、これまでとは違った医療ドラマとして新規視聴者も獲得したようだ。

 清原果耶主演の「透明なゆりかご」は、主人公の女子高校生が町の小さな産婦人科に看護助手としてアルバイトする中で出会う“命の現場”の物語。こちらもスーパードクタードラマではなく、様々な事情をもって産婦人科へ訪れる妊婦とその家族の“人間ドラマ”に重きが置かれている。

 現在でも母子ともに健康に出産できることが“当たり前ではない”という厳しい現実をしっかり描いており、「これまで触れてこなかったような部分に踏み込んでいて、とても見ごたえがある」(47歳男性)、「女性として、また母として娘に見せたい作品」(61歳女性)など、こちらもエンターテインメントというよりも心に深く刺さる作品になっていることがわかる。またこのドラマは悲しい結末になることも多いのだが、「厳しい内容を透明感のある映像で描かれていて見ていてつらくない」(60歳女性)など、視聴後感の良い作品に仕上がっている。

 同社の満足度調査によると、7月の月間調査(地上波GP帯ドラマ)で「グッド・ドクター」はトップの満足度で、「透明なゆりかご」は4位という高評価。スーパードクターが活躍しなくとも視聴者の心をしっかりつかむ医療ドラマができるということを証明したクールでもあった。

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2018年9月12日のニュース