「万引き家族」是枝裕和監督 カンヌ映画祭7回目参加も「危険」成否の落差激しく「背筋が凍る」

[ 2018年5月9日 11:00 ]

長編14作目となる最新作「万引き家族」が「第71回カンヌ国際映画祭」の最高賞パルムドールなどを競うコンペティション部門に選出された是枝裕和監督(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
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 是枝裕和監督の長編14作目となる最新作「万引き家族」(6月8日公開)が、フランス南部で開催される「第71回カンヌ国際映画祭」(5月8〜19日)の最高賞パルムドールなどを競うコンペティション部門に選出された。2004年の「誰も知らない」は当時14歳の柳楽優弥が最優秀男優賞、13年の「そして父になる」は審査員賞に輝くなど「自分を映画監督として育ててくれた映画祭」。7回目となる大舞台への心境を尋ねた。

 家族の在り方を問い続けてきた是枝監督が、今度は東京の下町を舞台に万引で生活費を稼ぐ一家を描く「万引き家族」。息子・祥太(城桧吏)と協力して万引を重ねる父・治をリリー・フランキー、その妻・信代を安藤サクラ、信代の妹・亜紀を松岡茉優、家族の“定収入”として年金をアテにされる祖母・初枝を樹木希林が演じる。

 是枝監督のカンヌ映画祭参加は01年「DISTANCE」(コンペ部門)、04年「誰も知らない」(コンペ部門)、09年「空気人形」(「ある視点」部門)、13年「そして父になる」(コンペ部門)、15年「海街diary」(コンペ部門)、16年「海よりもまだ深く」(「ある視点」部門)に続き、7回目。

 昨年9月、福山雅治主演の法廷サスペンス「三度目の殺人」が「第74回ベネチア国際映画祭」のコンペティション部門に選出。「金のオゼッラ賞」に輝いた1995年のデビュー作「幻の光」以来、22年ぶりの凱旋となった。当時、ベネチア映画祭出品を機に「幻の光」はスマッシュヒットを記録。製作費回収につながったこともあり、再訪を前に「自分のキャリアのスタート」とベネチア映画祭への感謝を示していた。ベネチアが自身を“発見”してくれた映画祭とすれば、カンヌは「自分を映画監督として育ててくれた映画祭」と位置付けた。

 「意気込んでいないのに意気込みと書かれるから、意気込まないと言うようにしています」と語った昨年のベネチア映画祭前と同じく、今回も「(賞を)期待していただいても構いませんが、オリンピックと違って、もう競技は終わっている(作品は出来上がっている)ものですから。意気込んでも、どうしようもないですからね」と平常心を強調。それでも「カンヌには30代、40代、50代と、ずっと呼んでいただいているので、60代でも、と思っています。それぞれに思い出がありますし、うまくプレゼンテーションできた時も、できなかった時もありますし。まあ、大変な映画祭です」。カンヌ映画祭常連の是枝監督をして「大変」という言葉が飛び出した。

 「カンヌは、監督がふらっと1人で作品を持っていく映画祭じゃないですよね。特にコンペは組織戦。配給会社とセールスエージェントと現地のパブリシスト、みんなで戦う感覚なんです」。殺人事件の加害者遺族を描き、脚本には相手の台詞が書き込まれていないというドキュメンタリー的な手法が採った「DISTANCE」でカンヌ映画祭初参加。「非常にインディペンデントで、実験的な作品。公式上映後もほとんど取材が入らず、みんな暇だったので、海辺で相撲を取っていました」と苦笑いして振り返った。

 「これだけ行っていると、今回そんなに取材が入らないという状況はたぶんないと思うんですが、それでも、カンヌでワールドプレミア(その作品の世界最初の上映)をするというのは、成功した時と失敗した時の落差が一番激しい。その作品に対する風向きが、逆風になった時の凄まじさたるや…。他の監督の作品を見ていても、背筋が凍る思いがします」と影響力の大きさを実感。

 「だから、カンヌでワールドプレミアをするのは危険だし、ある種、ギャンブル。自分の作品の大きさや小ささ、広さや狭さを考えた時、これは果たしてカンヌのコンペに耐えうるのかどうかというのは、僕が決めることじゃなく映画祭が決めることとはいえ、何回参加しても、いつも悩むというか、自分の作品は大丈夫かなと思います。今回は小さな話なので、どういう届き方をするのか、ちょっと分からないですね」と渡仏前の率直な心境。犯罪でしかつながれなかった家族の絆。是枝監督の入魂作が、どのように世界に響くのか、注目される。

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